第18話 本業のてこ入れ

 ジェマから思わぬ指名が入って1人残される。何だ、何かまずいことをしたか? 緊張する。重苦しい雰囲気の中でジェマは口を開いた。


「本業をさらに大きくするにはどうしたらいい? そのための補助部門の充実だろ?」


 確かに手をつけやすい補助部門の拡大や改善をしていた。しかし、本業が拡大しないどギルドはもっとよくならない。ジェマは本質をよく考えていた。


「依頼の数が増えれば大きくなりますが、今は鉱山がメインですよね。ちなみに、鉱山では何がとれるんですか?」

「銀だよ。ポトスで製錬して中央に送るんだ。貨幣になったり、皿とか家具作ったり、武器防具にしたり用途は色々だ。運搬は兵士がやるからその仕事は回ってこない」

「うーん……」

「ただ、どんどん掘っていくから強い魔物に出くわしていってるみたいだ。ポトスの依頼の質は上がっていくが、量の増加は見込めないな」


 困った。案が何も浮かばない。


「フォルセナ全土から依頼を募りましょうか?」

「その心は?」

「単純に量が増えますし、すごくレベルの高い依頼をこなしてしまえば、全土にここの凄さが伝わって依頼が向こうからやってくるようになりますが、さすがにそんなハードな依頼はありませんよねぇ……。それがこなせる冒険者も……。依頼をとりにいかないといけないですかね、中央に行って」

「うーん、何だか簡単ではなさそうなことだけは分かった」

「とりあえず中央に行って情報がないか聞きませんか。途中の村や町で何か情報が入るかもしれませんし」

「そうだな、行ってみるか」

「その前に、もう一度アンジェラ王女に確認したいことがあります。そちらが先でもいいですか?」

「構わん」


 以前の訪問と同じように、3人でアンジェラ王女のもとへ向かった。トンネルを抜けて研究所につき、以前と同じ部屋で待たされることになった。


「お待たせー」


 相変わらずの色気たっぷり赤毛美女が片目をウィンクして笑顔で部屋に入ってきた。赤毛はウェーブかかって、背中まで垂れ下がっている。大きな胸が揺れている。


「今日は何かしら?」

「少ないですが、今日の支出です」


 そういってアルテミスは金貨を10枚置いた。


「いつもありがとう。サインもしておくわね。それで今日はどうしたの?」

「実はこの研究所への支出が多いと中央から目をつけられまして……。できれば、ここらあたりでマシンゴーレムを引き渡していただけないかと」

「今日はさすがに無理ね」

「目処はどのくらいでしょうか」

「あなたたちに渡すマシンゴーレムは来月ぐらいならいいわよ。でも、使い方にもよるけど1ヶ月に1回はメンテナンスにきなさい。もちろん、お金はとるわよ。銀貨20枚ね」

「では来月とりに伺います。女王に見せる方のマシンゴーレムは順調ですか?」

「とりあえず動くからもうお母さまに見せることにするわ。いつまでも研究してます、の言葉だけでは信用されないから。だから、今日もらった金貨でひとまずもういいわ」


 思いがけない終了宣言に内心ほっとする。建設仮勘定は固定資産に振替だ。


「何年ぐらい使えますか?」

「10年ぐらいかしら」


 なら償却は10年だ。


「もし、女王に認められたらどうなりますか?」

「アルテナのお金で量産よ! 楽しみだわ」


 アンジェラ王女は嬉しそうに言った。長年の苦労が報われる瞬間が目に浮かんでいるようだ。ここでもう1つ良い質問が浮かんだので尋ねてみた。なぜ思いつかなかったのだろう?


「ちなみに、うちのギルドに何か依頼はありませんか?」

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