第14話 結果の検証②

 ワッツの店が買取方法を変えてから2週間、買取による支払いが劇的に減った。買取額を在庫と変動させるようにしたので、毎日の買取額が減ったのだ。安く買取されても仕方ないので、この際材料を無償支給して武器防具を作ってもらおうかという流れができた。

 それでワッツは大忙しだ。修理をしながらの製作だから尚更大変。それでも、今日あたりから作ったものの引渡しが始まる。これからの2週間が勝負になる。ワッツが作ったものが本当に良いもので、修理が減るのかが明らかになるのだ。


「その間に試算をしておかないとね」


 アルテミスは修理が減ってもモノがどれだけ売れれば収益に貢献するのかを試算していたのだ。モノが良いことが証明されたら、よそのギルドへの展開も考えていた。そうするともう何人か雇う必要も出てくる。

 同時に、最近は道具屋を見学していた。ポーションの在庫だが、運搬日数を考えた発注が難しい。依頼が突発だから読めないのだ。これを解消するには内製するしかない。


「……というわけで、ポーションを内製したいので求人を出してほしいのですが」

「ポーション職人か。出しては見るが期待はできない。貴重だからな。まぁ、やってみよう」


 あと食堂だ。在庫が綺麗に管理されているのはいいのだが、ニキータが賄いを食べ過ぎてるのは問題だ。健康の面でも不安だし、何がゴミになってうれなかったのか分析できない。

 

「ニキータ、少しの間、僕が店を手伝う」

「平気なのかにゃ? 料理作れるにゃ?」

「料理はできないけど、運んだり片付けたり食器洗ったりお金のやり取りをするぐらいはできるよ」

「何が知りたいにゃ?」

「思いきって働く時間と料理を減らしたいんだ。何が売れてて何が売れてないかが知りたい」

「季節や時間によっても変わってくるにゃ」

「一年中同じ料理を出すお店に変えたいんだ、理想は。そうすれば先が読みやすくなる」

「そんなもんかにゃ。まぁ、やってみるにゃ」


 伯爵様は明日から飲食店店員になることにした。フォルセナ広しと言えども、貴族にご飯をもってきて貰うことはなかなかできない。良い経験だ、お互い。ちなみに、ジェマとパメラには驚かれた。


「なんか悪いことしてるみたいね」

「貴族をこきつかってるみたいに見えるから辞めてほしいが……ギルドを良くするためなら仕方ないか。あまり無理はするなよ。忙しいからな、体力を見ながら仕事しろよ。冒険者たちも気が荒いから厳しいこと言われても傷つかないようにな」

「仕事に一生懸命なところ、あなたの良いところだと思うわ。頑張ってね」


 朝昼を削って夜の居酒屋を強化すれば稼ぎが上がる仮説を検証するために、現地現物をやる覚悟を決めたアルテミスだった。

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