第10話 無償支給
ただ見てるだけで何もしない3人は、回りから気味悪く思われながらも、武器防具屋とワッツを観察し続けた。
修理してお金もらって買取して倉庫にしまって陳列を直して掃除して…忙しそうだ。作る時間があまりとれない中、良いモノを作ってるのに高いと思われて売れないんじゃなぁ…。心が折れないで真面目に頑張ってるなぁ…あ、倉庫からなんか出して作り始めた…。単純に安くするんじゃ利益でないし良い方法はないものか…。あの材料、買取りしたやつか…いくらで買ったんだろ、そもそも在庫見て買ってるのかなぁ、ていうかタダでくれたりしないよなぁ…そしたら安くなるのに…。
いや、タダで貰えばいいんだ。
「案が浮かびました」
「本当か?」
「部屋に戻って聞かせてもらいましょうよ」
部屋に戻るとアルテミスが説明を始めた。
「買取を少し変えましょう。まず、毎日の買取の値段を変えます。在庫が多いものは安く買取り、支払いを減らします。逆に、欲しいものは値段を上げて、これが欲しいと明らかにしましょう。今は在庫が多いので支払いは減るはずです。正直、今のワッツは仕事が多すぎて1人では処理しきれないと思います。だから、仕事を減らしましょう」
「ふむ。仕事は確かに多かったな」
「修理の依頼が多かったわね」
「そして、魔物を買取らないで武器防具の材料に提供してくれたら、ワッツの加工費と利益だけで安く武器防具をその人に売りましょう」
「どういうこと?」
「今までは、10で買取をして25で武器防具を売ってた。これからは、買取をしないかわりに同じ材料で作った武器防具を15で売る。ワッツの武器防具を手に入れるのに25必要だったのが15ですむ。勿論、買取にするか武器防具にするかは選べる」
「買取が減るから、ここでも支払いが減るのね」
「ワッツの質の良い武器防具が広まると、修理の回数も減ると思う。すると、時間ができるからもっと早い時間で武器防具ができる。そうすればもっと値段も下げられるし、評判が良くなって他の武器防具が売れて在庫も減るはずだ」
「材料をタダで手に入れるみたいなもんか」
「そうです!好循環が生まれるはずです。作って売れない体制から売れるものを作る体制に変わります」
聞いていた2人は満足そうに言った。
「良いじゃない!」
「これは良さそうだ」
「…ただ1つ問題があって、売れるものを優先的に作るようになるので、作りたいものは作れなくなるかもしれません…」
沈黙。
「まずいわね」
「まずいな。うまく言わないと辞めるかもしれん」
腕組みをしたジェマが決心するように言った。
「これは俺に任せてくれ。やつを説得する」
ジェマが部屋を出てワッツのところに向かった。
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