第21話 勇者マルコ
俺、サブ、タモツはベッドとテーブルしか無い簡素な部屋に召喚された。
目の前にはエリス、隣に弟と妹が、そして一歩離れた位置にイケメンのラーセン君。
『クリア!、クリア!、』
俺の両隣で警戒していたサブとタモツ。
「スジャクさん、無事に出て来てもらって良かった!」
「あの~ 両隣の暗黒騎士様はどなたですか?」
そうだね。
俺達真っ黒な格好でサブ達はヘルメットとバイザー付けてるからな
タモツはオペラ座的な自作の仮面だし。
悪者な暗黒騎士っぽいよな!
俺達・・・・
俺はサブっス!
僕は仮面の騎士、アーサー!
タモツの症状が悪化してる・・・
俺達はフェニックス殿の眷属にして守護騎士っス!
おぉー サブとタモツ、設定完璧だな!
「きっ、騎士様ですか?」
あー、エリス、余り気にしなくて良いからな。
召喚された時にちょっとミヤから魔人の襲撃に注意しろって言われてな。
「分かりました。」
「あっ、忘れてた。
スジャクさんのお陰ですっかり良くなった弟のマルコです。
こっちは妹のアンナ。」
「召喚獣様、姉の危機を救って頂きありがとうございます。」
「ありがとうございます。」
マルコとアンナがお礼を言ってきた。
「少し良いかの?」
「ワシは女神ミヤ様を信仰する神光教会の司祭をしておるラーセンと申す。」
「召喚獣様とは先週お会いしたが暗黒騎士様達には初めましてじゃな。」
ラーセン君、じじ臭いな!
サブとタモツが目をキラッキラさせてラーセン君見てるよ!
「うむ、 暗黒騎士様達にはエルフ族は珍しいですかな?」
エルフ族?
兄貴、エルフっスよファンタジー定番のエルフ!
見た目で年齢読めないエルフっス!
多分ラーセンさんって何百才ってのがデフォっスょ!
サブが俺にコソコソ話しかけて来た。
エルフ族は理解した。
「それで?
エリス、ここは何処なんだ?」
あっ、ハイ。
ラーセン司祭様にお願いして教会の部屋を貸してもらいました。
ラーセン君は立ち話も何だからと食堂の様な場所に移動してお茶を飲みながら話をした。
もちろんヘルメットとバイザーを取った暗黒騎士と仮面の騎士も一緒だ!
「あれ?
スジャクさん?」
言葉が通じるんですか?
あぁ、 それはミヤに何とかしてもらった。
不便だからな。
実際はミヤにもらう予定のスキルを自前で取得しちゃっただけだが言わんで良いだろう。
ひとつ皆さんに言っておく事が有るっス
暗黒騎士サブが異世界組相手に話し出した。
会話は成立するっスけど
お互いの言葉に変換されてると思うっス。
だから言い回しとか言葉のニュアンスが多少違うかもっスけどその辺は了解して欲しいっスね。
そうだな。
エリス達の言葉は俺の世界の言葉に聞こえるし多分だが俺の言葉はエリス達の世界の言葉に聞こえるだろ?
俺が今話してる言葉は俺の世界の言葉だからな。
そうじゃな・・・
会話内容に少し違和感が有ったのはその為じゃな。
「違和感って何ですか?ラーセン司祭様。」
フェニックス殿の口の動きと会話内容が一致しなかったのでな。
「そうなんですね!」
うむっ!
帝国の勇者殿達もそのような加護をお持ちだと噂には聞いておる。
「「 帝国の勇者? 」」
サブとタモツの目が飛び出しそうだ!
うむっ。
暗黒騎士殿達は帝国の勇者殿達の事をご存知ですかな?
その辺もデフォなんっスね!
サブがラーセン君に言い、タモツがコクコク頷いている。
俺は完全に仲間外れだ!
ラーセン君とサブ&タモツで話しはじめたので俺はエリス達と話しはじめた。
エリスは袋いっぱいの金貨と剣とか鎧、指輪などを変なバックから出して並べていた。
どうやら俺への報酬らしい。
前回の巨大カマキリに殺された奴らの遺品だそうだ。
ラーセン君をタモツに任せてサブが駆けつけて来た。
兄貴、俺が選んじゃって良いっスか?
「あぁ、タモツが良いなら良いぞ!」
タモっちゃんとは打ち合わせ済みなんでOKっス!
サブ、エリス、弟、妹でワイワイとアイテムを物色していた。
アイテムバッグの時点でサブが騒いだのはロマンだからだろーか?
そんな中、エリスが俺の方に来て今までの経由を話しはじめた。
そして俺の手を握って上目遣いで助けてくれと・・・ 一緒に魔人を滅ぼしましょうと・・・
てか・・・
エリスの話の内容からすると弟のマルコって勇者じゃね?
ミヤの使徒候補で聖騎士の資質、300年前の魔人戦争の時はその聖騎士が活躍したって・・・
ミヤの使徒な聖騎士が英雄の一人だってさ!
勇者覚醒前に魔人に呪いかけられて姉の力で解呪、
そして姉と共に旅に出て同じ呪いをかけれた覚醒前勇者候補者を解呪して仲間にして魔人を倒すと・・・
マルコ完全に勇者ポジションじゃん・・・
俺、それに参加すんの?
サブとタモツだけで良くね?
「取り合えず、エリスはこの後はどうするんだ?」
はい。 スジャクさんを約束通りに召喚して報酬も払いましたので明日家に帰ろうと思ってます。
「家は遠いのか?」
この街から乗り合い馬車で半日の距離に有る開拓村です。
馬車で半日って20キロ位か? 山手線線の二駅分位か・・・
今、この場所に居るのはタモツと話し込んでるラーセン君、
サブとアイテムの所で盛り上がってるマルコとアンナ、
そして少し離れて俺とエリスがテーブルを挟んでお茶を飲みながら話している。
「エリス、本当はもっと前に確認しなきゃならなかったんだが・・・」
何ですか? スジャクさん
「エリスは俺をこの世界に召喚したよな?」
「前回は帰還の詠唱で帰したけどさ~」
「実際、俺はどれくらいこの世界に居られるんだ?」
えーっとですねー
スジャクさんと魂の回廊が繋がる前は常に魔力が必要でしたけど
今は召喚と帰還に魔力を使う位です。
魔力は使い続けてる感じはするけど負担になる程じゃ無いですよ!
今回の召喚も1日したら再召喚出来そうな位には魔力回復してましたから。
だから多分ですけど~
スジャクさんが帰るって言うまでこの世界?に居ても大丈夫じゃ無いですか?
うん、これで一端は時間的制限が無さそうだな。
「こっちに居る時間制限が無いなら明日家に送ってくぞ?」
送ってくってスジャクさん、馬車有るんですか?飛んで行くとか?
「イャ、馬車より早くて静かで乗り心地の良い乗り物持ってるからそれで送ってくぞ。」
本当ですか?
ありがとうございます。
よろしくお願いしますね。スジャクさん。
そして辺りが暗くなり俺が持ってきた出来立てのピザとジュースで夕飯にした。
もちろん教会中の神父、シスター、孤児院のガキ共まで全員だ。
大人はビール、シスター達にはワインを振るまい孤児院に泊まってけイベントを華麗にスルーしてサブ、タモツの三人でキャンピングカーで一夜を明かした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます