第7話 鳳凰降臨
相変わらず何を言ってるか分からん青髪少女を良く見てみると右腕を怪我していた。
自称、紳士の俺としては手当位はしてやらんとと思い辺りを見渡すと俺の脱いだボロボロのジャケットとシャツが落ちていた。
「うん、 カマキリ汁は飛び散って無いな・・・」
俺はシルクのシャツをビリビリ破り包帯代わりに青髪少女の傷口に巻いてやった。
青髪少女はまた何やら訳の分からん言葉を俺に向けていたが・・・
分から物は分からん。
おもむろに青髪少女に腕を捕まれ光の粒子になって消えて行ったデカカマキリの所に連れて行かれた。
カマキリの消えた後にはピンポン玉サイズの透明な石と散々俺が切り付けられたデカい鎌が二本落ちていた。
ピンポン玉サイズの透明な石とデカい鎌二本を手に取った途端になんか・・・
俺の身体に入ってきた・・・
スゥーって・・・
青髪少女は俺の手の平を見てまた謎言語を話しかけている。多分ツッコミ入れてんだろ・・・
とりあえず上半身裸だしベルトもしてねーけど・・・
どーすっか?
フェニックスさんがエンプーサを素手で撲殺した・・・
エリス的には衝撃だった。
虫タイプの魔物の場合は得てして甲殻が厚く、剣、槍、弓は目や口内等の皮膚の薄い場所以外は効きづらく斧やメイス等の打撃系を辛抱強く当てて行き隙を作って魔法の火力で止めを と言うのが一般的であったからだ。
「フェニックスさんくらいになるとA級程度の虫タイプな魔物は素手で十分なんだ~・・・」
フェニックス語は分からないけど一応フェニックスさんには伝えてみた。
フェニックスさんに話しかけてる間中、常に背中の黄金のフェニックスさんがこちらを凝視している・・・
イャ、あれは多分睨んでいると思う・・・
「あっ! エンプーサの魔石とドロップアイテムを回収しないと!」
私はフェニックスさんの腕を引きエンプーサの魔石、ドロップアイテムの所に来た。
フェニックスさんがエンプーサの魔石とドロップアイテムを手にした途端にフェニックスさんの体内に吸収されている。 まるでダンジョンが魔物の死骸を吸収するかの様に・・・
私は驚いてフェニックスさんの手の平を見ながらどうなっているのか聞いてみたがやっぱりフェニックス語が分からず・・・
ただ、フェニックスさんの背中の黄金フェニックスは魔石吸収とエンプーサのドロップの両腕の鎌を吸収して翼を広げて喜んでいる様だ・・・
私は3本だけ残ったマナポーションを1本飲み魔力不足で疲れた身体に鞭を打ち10階層への階段までの通路を戻った。
私が逃げ回った通路に戻り道中に大量に有るオーク、オーガの魔石やドロップアイテムを回収しながら向かうのだった。
何故か上半身裸のフェニックスさんも後を着いて来ている。
帰らないの?
私の素朴な疑問だ・・・
私がアイテム類を回収しているとフェニックスさんもアイテム回収を手伝ってくれていた。
全部吸収されちゃったけど・・・
流石にフェニックスさんも手の平で持つと吸収されちゃうって学習した様で足でアイテムを動かし纏めて山にしてくれていた。
相変わらず背中の黄金フェニックスさんは私の事を睨んでいる・・・
アイテムを回収しながら来た道を戻っていると思わぬ事態に遭遇してしまった。
冒険者の死体だ。
それも転々と倒れている。
全て首の無い冒険者の死体が先々に有る。
冒険者の暗黙の了解としてダンジョンで亡くなった冒険者の遺体はギルドカードのみ回収する。
遺品に関しては発見者に権利が有り遺族が遺品を必要とした場合はギルドを通して発見者と交渉する決まりになっている。
私は全ての遺体、30名のギルドカードを回収し遺品も回収した。
マジックポーチが10個も有り水、食料、衣類を外に出して武器、防具、マジックアイテム、コインにポーション類を全て回収出来た。
首の無い遺体はやはり首を跳ねられエンプーサに食べられたのであろう・・・
ポーション類が大量に回収出来たのでハイポーションを飲み体力を戻してついでに魔力切れ寸前なのでハイマナポーションを飲んだ。
やはり召喚魔法は魔力をバカ食いする様だ・・・
5本目のハイマナポーションを飲んで軽いポーション中毒の自覚症状が出た時にやっと10階層への階段に着いた。
今の私の格好はフェニックスさんに背負われている・・・
フェニックスさんに背負わて居ると丁度背中の黄金フェニックスさんの顔が正面に来ている。
相変わらずズーッと睨まれっぱなしだ。
私は気分を変えるためにフェニックスさんの肩をチョンチョン叩き振り向いたフェニックスさんに自分を指刺しながら
「私の名前はエリス、エリス、エリス」
フェニックスさんも私が自己紹介してると気付いてくれたらしく私を指刺しながら
「エリス」
と名前を言ってくれた。
私はコクコク頷いて又自分を指刺しながらエリスとフェニックスさんに名前を伝えた。
フェニックス語でも名前は分かるんだなーってちょっと嬉しくなった。
エリス、エリスと言ってくれたフェニックスさんは自分を指刺しながら
「スジャク」と・・・
初めてフェニックス語が分かった瞬間だった。
私はフェニックスさんの顔に指刺しをしてフェニックスさんの名前を言った。
『スジャク』
フェニックスさん、改めスジャクさんは何かバツの悪そうな顔をしながらコクコク頷いてくれた。
ビコーン! 私の頭の中で何かの音が鳴っていた。
『召喚者エリスにより召喚獣フェニックスに名付けがされ召喚獣の了承が確認されました。 召喚者エリス、召喚獣スジャクの魂の回廊を繋げます。』
エリスの胸から光の玉が出て行きスジャクの左胸に吸い込まれて行った。
スジャクに吸い込まれた光の玉はエリスの聖印と同じ形でスジャクの左胸に現れ聖印からエリスと同じ様に蔦の様な形で左上腕まで伸びた。
イャ、エリスと同じ蔦では無い様だった。
途中から蔦のデザインが段々と 禍々しくなって行った。
ファイアーパターンが1番近いかも知れない。
背負われているエリスも蔦のデザインが途中から禍々しくなっていく所をみて
「私のは蔦だけどスジャクさんのは蛇かも知れないね。毒へび?」
後ろで毒へび扱いしてクスクス笑ってるエリスに呆れながらセーフエリアを目指していた。
・・・・「エリス?」
「何ですか?スジャクさん」
・・・・「エリスは俺の言葉が分かるか?」
「? 分かりますよ?・・・ あっ!!」
「言葉が通じてるな。 エリス」
「通じてますね。 スジャクさん」
「あの~ 言葉が通じるならスジャクさんにお願いが有るんですけど~」
「んっ? 何だ?」
「背中の黄金フェニックスさんに睨むの止めてもらえるように言ってもらえませんか?」
「背中の黄金のフエニック? 俺の鳳凰の事か?」
クワァァァァァァァ・・・
ビコーン!
『依り代主スジャクにより眷属フェニックスに名付けがされ眷属の了承が確認されました。 依り代主スジャク、眷属、鳳凰の魂の回廊を繋げます。』
「「 えっ? 」」
さっきのエリスと同じ様に俺の背中から光の玉が飛び出して行き俺の目の前で光が鳳凰の形になって行った。
何処からともなくハープの音楽が流れて来て何も無い空中から金色の羽が舞い落ちて来た。
『降臨・・・・ 満を持して・・・』
エリスはポカーンと口を開け、アホの子モードで鳳凰を眺め、俺は鳳凰登場に何となくやりたい事が分かったが一応鳳凰にツッコミを入れた。
「マニアすぎだろ・・・・」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます