第8話 女神ミヤ

無事に? 二人と一匹でセーフティーゾーンの移転陣から地上に戻ったが・・・


地上ではギルドマスターを筆頭にギルド職員、衛兵に平兵士、冒険者達、ダンジョン入口は蜂の巣を突いた様なカオス状態だった。


移転陣から地上に戻った二人と一匹は自然と全員の視線を集めてしまう。


黒髪、黒目、上半身裸で武器も一切持たずベルトもしていない少女を背負った不審者

性格の悪そうな顔した無駄に派手な金色の鳥

不審者の背中に背負われてグッタリしている青髪の少女


何処から見ても不審な組み合わせがダンジョンの移転陣から出て来たら誰でも警戒するよね?


案の定、衛兵に槍を向けられて兵士達にに囲まれたよ・・・

「§※∈∧∋ヰΘΦΨΣβζδημλοπφИψ!!!」


ヒゲの偉そうな衛兵が叫んで居たが

相変わらず何言ってるかさっぱり分からん。 

ちょっと怒ってるっぽい?


「エリスは魂の回廊?が繋がってるから会話が成立してるんだな・・・」


俺の背中越しにエリスが懸命にヒゲ衛兵に説明をして辛うじて槍は下げられた。

でも、相変わらず兵士には囲まれたままだけどな。


直ぐにギルドマスターが走って来てダンジョン内の事をエリスに聞いている。


ギルドマスターにダンジョン内での事を説明していた時に人混みをかき分けて白い神官服らしき物を着たイケメン君がこちらに近づいて来た。


「ラーセン司祭様!!」


エリスはイケメン君に向かって叫んでいる。


イケメン君が近づいて何やらエリスと小声でコソコソ話しをしている。


このイケメン兄ちゃん耳長げーなー なんて事を思いながらエリスとラーセン君のコソコソ話しが終わるのを待っていた。


今現在も不審者は少女を背負ったままなのは物凄く居場所が無な・・・

バカ鳥はエリスの頭にとまってる。


時折、翼を器用にシュパシュパ動かしていたので恐らく次回は 俺・参上! でもやるつもりなんだろ。


そんな事を考えていたらエリスとラーセン君のコソコソ話しが終わった模様。


ラーセン君はギルドマスターとか言うおやじに何かを懸命に話していた。


ラーセン君のお付きの神官に案内されて教会?的な?所に連れて来られた。


エリスの説明では弟ピンチで特効薬の材料取ってきて薬作って弟復活! ハッビーエンド らしい


回りがごちゃごちゃ五月蝿いし人も何だか集まって来たし、俺裸だし!


エリスの説明の半分も理解出来なかったよ・・・


魔法とか女神とか使徒とか・・・俺には全く興味が無い。


サブなら涙流して喜びそうだけどな。


エリスを背中から下ろした俺は相変わらず上半身裸でベンチの様な椅子に座ってエリスを囲んだ人達を眺めていた。


ラーセン君のお付きの神官君が気を効かせて上着を持ってきてくれた。 

有りがたい。


日本で上半身裸、背中に入れ墨の男がフラフラしてたら間違い無く逮捕案件だからな。


ローブって言うのかな?

お付き神官君が持ってきてくれた地味な色のローブを羽織って裸族からは解放されたが現状からは解放されていない。


「仕事が溜まっちゃうから帰りたい・・・」


どうやって帰ったら良いんだろ?


俺はぼーっと眺めていて有る事を思いついた。


「暇だし帰して貰えそうにも無いからムービーでも撮ってサブにでも自慢すっか!」


ダンジョン内でエリスに包帯を巻いてやった時にビリビリジャケットから財布とスマホは無事に回収出来てたから色々ムービーを撮ってみる事にした。


ラーセン君とかエリスの回りに集まってるガヤ達って金、銀、赤、青、黄、緑にピンクってレンジャーか!

って突っ込みたくなるくらいの髪の色してんだぞ?


耳が長かったり猫耳付いてたりね!


俺はムービーを撮りはじめてた。


もちろんエリス以外は会話が成立しないから不許可でね!


どうせ不審者確定してんだから不審者らしく不審な行動しなきゃな!!


オォォォォォー

何かガヤ達が騒ぎ出した。


エリスの回りに集まってたガヤ達が一斉に跪きだして祈りだしたよ!


涙流してるシスター?っぽい女の子まで居るし。


エリス特効薬出来たっぽいな。


ガヤ達が跪きだしたんで俺はエリスにムービー撮りながら近づいて特効薬を撮った。

 

それ毒じゃね?

特効薬は毒々しい発光紫のスムージーみたいなドロッとしたタイプらしい。


隣で半目開けて横たわってる弟らしき少年に強引に口の中に発光紫な特効薬を流し込んでた。

 

ピカッー!!

半目開けた少年の身体、全体がまばゆい光を放った 

 

「特効薬スゲー 特効!」

なんて感心してると ムクッ って半目少年が起きた。


キョロキョロ回りを見渡し謎言語を叫びながらエリスと抱き合ってた。

おっ、回りをチョロチョロしてた幼い女の子も仲間に入ったんで彼女がエリスの妹なんだろ。


いつのまにか戻ってたラーセン君が多分だけど仕切り出してる動きっぽいな。


終わった? 

ハッビーエンド? 

帰してもらえる?


俺は一歩離れた位置からエリス達をムービーで撮ってたがエリスが俺に気付き泣き笑いしながら抱き着いて来た。


「ありがとう。 本当にありがとう。 スジャクさん・・・」

「スジャクさんのお陰で無事に戻って来れました。 無事にマルコの呪いが解けました! 」


特効薬って呪いかよ!!

毒々しい発光紫スムージーもそれなら納得だよ!


「そうか。 よかったな、エリス」


「はい! スジャクさんのお陰です!」


もうエンディングで良いよな?


俺はもうエンディングのテイでエリスに話し掛けようとしたが先にエリスから言われてしまった。


「もう大丈夫です。スジャクさん。 この後のギルドへの説明は全部私がしておきますから!」


「そっ、そっかぁ 分かった。」


話しを切り出すタイミングがズレちゃうと中々話しづらいよね。


しばらくエリスと見つめ合ってタイミングを伺っていたらまたもやエリスの方から話しを切り出された。


「スジャクさん・・・ 帰らないんですか?」


「えっ? イャ、帰りたいんだけど・・・ どうやって帰んの?」


「えっ? 召喚獣って普通は戦いが終わったらそのまま帰るんじゃ無いんですか?」


「えっ? 帰り方が全然分かん無いんだけど?」


「えっ? そうなんですか?」


「多分だけど・・・ エリスが 帰って良いよ って言わないと帰れないっぽいぞ?」


フリーズするエリス

「あっ! 本当だ! ごめんなさい。 スジャクさん。」


「今、送還しますね。」


「ちょっと待ってくれエリス!」

スーツと特注のベルトをダメにして貧乏臭い地味なローブ着せられて無料奉仕? 俺の背中の鳳凰、バカ鳥はどっか行っちゃったし。

俺、893だから基本無料では動いちゃダメなんだけど・・・


「召喚獣的な報酬的な物って何か無いの?」


・・・・・・・見つめ合う二人


「すみません。 私も召喚獣って初めてなんで・・・」


「色々調べておきますので後日って事で大丈夫ですか? スジャクさん」


「ん~ まっ! 後日でもいっか」

エリスに言ってから気が付いた。


「イャイャ、待て待て! 日にちと時間を決めてもらえないか?」


「日にちと時間ですか? 召喚の?」


「あぁ、俺も立場の有る仕事してるからそんなホイホイ時間を作れ無いんだよ。 何日の何時って決めて貰えないと立場的にちょっとマズイんだよな」


「分かりました。 1週間後のこの時間なら大丈夫ですか? スジャクさん」


「一週間後の予定なら大丈夫だ!」


「じゃ、 そんな感じでお願いします。」


「イャ、 待て待て待て!」

俺は送還したくて仕方がなさそうなエリスに待ったをかけた。


「エリス、今何時だ?」


「夕方なの15時くらいですね。」

エリスがガサゴソ服の中から懐中時計的な物を出して俺に伝えた来た。


俺は腕時計を確認する。

俺の腕時計は3時12分だ! 大体合ってる?

「一週間後って今日から何日後だ?」


「えっ? 10日後に決まってるじゃ無いですか~」


決まってるんだ・・・ 一週間って10日なんだな・・・ 良かった・・・ 確認しといて。 俺GJ


「なら、10日後の夕方15時に召喚って事で良いな?」


今日が10日だから20日のPM3時だな!

スマホに入れとかないとな・・・


俺がスマホをボチボチ弄ってるとエリスがモジモジ言いづらそうに俺に話しかけてきた。


「あのぉ~ スジャクさん、 スジャクさんの腕に付いてるそれって時の魔道具ですか?」


「ん? これか? そうだな。時計だぞ。 時の道具だな。」


「私のコレって・・・ ラーセン司祭様の借り物なんです・・・ 返さなきゃなんですけど・・・」


ハイ、キタ!コレ! 腕時計のおねだり頂きました・・・

「分かったよ・・・ 俺の時計次の召喚まで預けとくよ・・・」


「本当ですか? ありがとうございます。 スジャクさん」


俺は大体の使い方?見方を説明してエリスの腕に着けて初めて気が付いた。 


「ベルト穴合わねーじゃん・・・」

はぁぁぁぁぁぁぁ~

スーツにシャツ、ベルトに時計・・・ 大赤字だよ・・・


俺は細くて先の尖った針みたいな物をエリスに持って来させて泣く泣く時計のベルトに穴を開けてエリスの腕に巻いてやった・・・


「じゃ、10日後の15時な・・・」


「はい! 10日後の15時に召喚しますね~♪ 」

腕時計をGETしてニコニコ顔のエリスに送還魔法をかけてもらった。


はぁ~ 何か非常に疲れたな・・・


俺の身体が送還陣に沈んで行くとバカ鳥が焦りながら戻って来て俺の頭に止まった。

そのまま俺とバカ鳥で陣の中に沈んで行く・・・


沈み切って次は召喚陣の様に頭から出たのは良いけど・・・


「ココドコ?」

短時間に2度目のここドコ?だよ・・・


何も無い白い空間、壁も無い、天井も無い、床は有るっぽいな・・・


俺は回りをキョロキョロ見てると頭の上のバカ鳥が頭をペシペシ叩いて来た。

バカ鳥をみてバカ鳥が翼で指した方に身体を向けるといつの間にか壁が有って扉が付いていた。


こっから帰りゃ良いのか? てか、何処でもなドアかよ!


バカ鳥しか居ないので大声でツッコミ入れてみた。


俺とバカ鳥で何処でもなドアに向かうと前方に魔法陣確認。


魔法陣の近くまで行き、この後の展開を見守って居ると・・・


やっぱこの展開だよな~


土下座少女が召喚陣から上がってきた。


はぁぁぁぁぁぁぁぁ~


もういい加減に帰らしてくんね?


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