第6話 強いよ! フェニックスさん


何がなんだか意味が分からん・・・


「ココドコ???」


目の前にはトラック位有る大きさのカマキリ?


後ろには頭が裏原辺りに居そうな明るい青い色をした髪の14~5才の外人の少女・・・


え? 何? お姉ちゃん、大きなカマキリに襲われているのかい?


俺は助けた方が良いのかい?


青髪の外人少女に一応英語で話しかけてみた。


「ここはドコで今はどんな状態なんだ?」


青髪の外人少女は俺の目を見ながら


「仝〆〇≠*§◇※∈∀∠∬Å√Θ」


分からん。

言葉が全く通じん。


青髪少女と意思疎通出来ないでどうしようか考えていたら襟足辺りがチリチリしだす。


俺は本能的に半歩半身に身体をずらす。

身体をずらした瞬間、背中を刃物が通過した様な感覚を覚え、後ろを向いた。


デカいカマキリがシキャシキャ言いながら俺に鎌を振り下ろして来た。


右から振り下ろされた鎌を左手の手の平をそっと添えて鎌の軌道を反らしいなした。


正面の対応をしている間にデカカマキリの左鎌が視界の外から横薙に振るわれた。


「人間だったら振り下ろしと横薙をひと呼吸の間にとかどんな達人だよ!!」


俺はデカカマキリに悪態をついた。


デカカマキリに悪態をつきながらも横薙をスエーで躱して右鎌を再度いなして・・・・


「いい加減にしろゃ! ごるぁぁぁー」

「おぉぅぉぅぉぅぉぅ やってやるょ ごるぁぁぁー」


デカカマキリの鎌の攻勢にジャケットもシャツもズタズタ。


俺はジャケット脱ぎ捨てシャツも脱ぎ捨てズボンのベルトを外した。


俺のベルトは特別製でバックルはタングステンカーバイド製のメリケンサック。 

ベルトはカーボンチューブにアマミド繊維を被せた切れないベルト。 9ミリパラ程度なら俺のベルトは貫けない。 


ベルトのバックルを右の拳に嵌めバックルを外したベルトをくるくると手早く左拳に巻いた。


「上半身裸で巨大カマキリと闘うとか・・・ どんな極道ゲームな展開だょ・・・」


俺は愚痴を吐き出しながらも神経を研ぎ澄まし、ちょっびりワクワクしながら目の前のデカカマキリに右ストレートをお見舞いした。



私はフェニックスさんとエンプーサの闘いを口をポカーンと開けてアホの子の様に見ていた。


「女神ミヤ様、神鳥のフェニックスって・・・ 魔法とか使ってもっとスマートに闘うんじゃ無いでしょうか? 私が知らなかっただけでフェニックスって肉弾戦が得意なのでしょうか?」


流石に目の前の肉弾戦が強烈過ぎたので女神ミヤにツッコミを入れてみたエリスだった。


フェニックスさんはエンプーサ相手にガッツリ肉弾戦をしています。


殴り、蹴り、殴り、蹴り、蹴り、蹴り、・・・


あっ、フェニックスさんが口元を緩めて変な笑いをし始めた・・・


あれって・・・・ 本当にフェニックスですよね?


女神ミヤ様の召喚陣に間違いは有りませんよね?


女神様ですもんね? 全能ですもんね?


それに・・・・・・・ 


フェニックスさんの背中に黄金のフェニックスさんが居るから・・・


間違い無く本物のフェニックスですよね? 女神ミヤ様・・・


私が心の中で女神ミヤ様にツッコミを入れている時、

先ほどのフェニックスさんが出て来た召喚陣が再度輝き出した。


私が再度口を開けてアホの子の様に輝いた召喚陣を見ていると突然召喚陣から強い光の固まりが飛び出しフェニックスさんとエンプーサが肉弾戦を繰り広げている頭上をクルクルくるくる回り出し、そのままフェニックスさんの背中の黄金のフェニックスに入って行った。



俺はデカカマキリを殴りながらも自分が段々ハイになって行くのが分かった。


最近はストレスの溜まる仕事ばかりで知らずに俺は丸くなって来たのだろうか?


歳のせい? 立場のせい? 社会のシステムのせい?


昔は辺り構わず噛み付き暴力で解決してきた。

暴れ回れた。


今はデカカマキリ相手に久しぶりに両拳を使い暴力を満喫している。

自然と口角が上がり笑いが出ていた。


「あはっ、あはっ、アハハハハハハハ~ 楽しいな~カマ もっと上げて行こうぜ~~~」


「893パーンチ、893キック、893キック、893キッーク! あはっ、あはっ、アハハハハハハハ~」


デンションMAX! かかってこいや~ カマ!!


デンションアゲてデカカマキリを殴打していると俺の背中の鳳凰から何か熱い物が身体を駆け巡った。


クワァァァァァァァー


俺の背中から聞こえる雄叫びが俺の闘争本能をビンビンに刺激している。


俺は目の前のデカカマキリ相手に両拳、両足のラッシュを食らわす。


右ストレートを振り抜き、そのまま右足からのハイキック、右、右のコンボ


左の膝、テンカウで顎を打ち抜きデカカマキリの足を足場に使った飛び上がりからの左踵落とし、着地しての裏拳、飛び散るカマキリ汁、もう両鎌もブラブラになり辛うじて皮らしき何かで付いているだけだった。


カマキリ汁まみれのデカカマキリの勢いが急に無くなった。


「そろそろ終わりにすっか、カマ!」


俺は両鎌をブラブラさせたデカカマキリの正面に立ちカマキリの身体正面に正拳突きを放った。


ん? なんか俺の手足が腕が燃えてる?


俺の拳はあんなに固かったデカカマキリの身体を突き抜け大きな穴を開けた。


ドスン・・・・ デカカマキリはカマキリ汁まみれになり倒れ、光の粒子になって消えて行った・・・



私はフェニックスさんの肉弾戦をつぶさに見ていて・・・


「フェニックスさん、エンプーサ撲殺って・・・  強すぎね?」


思わず声に出して呟いてしまった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る