第5話 召喚 朱き不死鳥


14階層、階層主部屋の扉前から月下草を採取し地上を目指したエリス。


事前の予定通りに採取し地上に向けて階層を昇るだけだった。


14階層の階段を登り13階層へ。


13階層の階段を登り12階層へ。


厄介な魔物や罠を回避しながら11階層に上がる。


全体的に降りる時よりも魔物が増えた?


エリスは嫌な予感を感じながら10階層のセーフティーゾーンに急いだ。


10階層のセーフティーゾーンには地上への転送陣が有りセーフティーゾーンに着いた時点で転送陣を使い地上に戻れる。


10階層の登り階段がもう少しで見える時にそれは起こった。


10階層の登り階段近くの壁が突然開き、まるで登り階段に進ませない様に魔物が溢れて来た。


オークの集団、オークの色違い亜種、本来は11階層に居る事は無いオーガの集団に色違い亜種

魔物の亜種は本来の強さに比べて格段に強くなる魔物だ。色は強さを表し目立つ色程その種族の上位存在になっている。

そして・・・


最悪な魔物、エンプーサが窮屈そうに壁のドアから出てきた。


エリスは11階層の地図を確認し集団戦が不利な通路、弓による長距離からの討伐が可能な通路と条件を付け魔物の集団から逃げながら地図を頼りに自分が有利に戦える地形の場所に向かっていた。


エリスは大型のオーク、オーガが並んでも二匹しか通れそうも無い通路に急いだ。


女神ミヤの使徒になり身体能力、魔力が大幅に上がって居ても所詮はソロ。


エリスは地形、ダンジョンの壁を上手く使い弓の長距離狙撃で徐々に魔物の数を減らしては居た。


どの位の時間が経ったのだろう・・ 予備の弓に多めに用意していた矢、通路いっぱいの討伐された魔物の魔石とドロップ品。回収の暇も無く矢も少なくなって来た時にそれは現れた。


ギリギリギリギリ不快な音を響かせながら奥の方からオーガ亜種、オーク亜種が細切れにされている。


目の前の魔物を切り裂きながらエンプーサがこちらに向かって来た。

通路に残っていた大量のオーク、オーガを全て切り裂きエンプーサは近づいて来る。

エリスは弓に魔力を乗せて無我夢中にエンプーサ目掛けて射り出した。

エリスの矢はエンプーサに弾かれ残り矢も少なくなり奥の手の矢に魔力を纏わせエンプーサの目を狙い放たれた。

エリスの矢は狙い違わずエンプーサの複眼の左目に命中。

激しい叫びを上げたエンプーサはエリスに向かい6本足の前2本を器用に使いオーガ、オークが残した剣、槍、斧を投げつけて来た。

左目を潰され怒りに燃えるエンプーサは拾いながら投げつけ拾いながら投げつけしながら徐々にエリスとの差を縮め始めた。

ソロのエリスに物量で武器を投げつけるエンプーサ。

遂にエリスの回避が間に合わず右腕に斧の直撃を受けてしまう。


ハァハァハァ・・・

弓を肩に背負い左手に短剣を握りしめ右腕から血を流し懸命に逃げている少女が息も絶え々に呟いていた。


「何故11階にA級のエンプーサが居るの?・・・」


少女の後には立ち姿が2mは有るA級のカマキリ型魔物、エンプーサが迫っていた。

エンプーサは黒光する両腕の鎌をギリギリ擦り合わせさながら猫が獲物を弄ぶ様に両腕の鎌を鳴らし少女を追い詰めて居た。


エンプーサはカマキリ型で体長3mくらい有り6本足で2本の切れ味鋭い鎌、顔も複眼に強力な顎を持ち残虐性が特徴な狂暴なA級魔物、一度標的にされれば逃げきるのは至難の業だ。


「ハァハァハァ 何とか逃げないと・・・  マルコ、待ってなさい・・・ 私が必ず・・・ 」


エリスはエンプーサの潰した左目方面に地図を見ながら必死に逃げた。

開けた場所で岩の陰に隠れながらエンプーサの位置を探る。


矢が尽きて予備の短剣一本、敵は左目だけを負傷しただけのA級魔物。


登り階段方面の通路は塞がれこのままでは短剣一本でエンプーサと闘わなければならない・・


手持ちのハイポーションは多めに用意していたにも関わらずオーク、オーガの物量とエンプーサの武器投げで使い切り残りは低級ポーション1本とマナポーションが数本・・・


エンプーサがギリギリと鎌の音を轟かせて近づいて来る。


「うっっっ」


エリスは突然左胸にチクリとした痛みを感じ頭に召喚陣、召喚詠唱が頭の中に流れて来た。

エリスは頭に流れて来た召喚陣を正面に展開し頭に流れて来た召喚詠唱を唱えた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・マジ?これ言わなきゃダメなん? 

 


文句を言ってみてもピンチな事には変わらない。

誰も居ないダンジョンの中だし・・・

小声で詠唱したら良いか・・・



『朱き輝く天空の神鳥 我が名はエリス 偉大な汝の名と共に我と死が分かつまで 共に我等の前に立ち塞がりし全ての愚かなる者達に我と汝が力を持って等しき滅びを与えん事を 』



エリスは小声で召喚詠唱を呟き 目前に迫ったエンプーサに向けて召喚陣を発動し叫んだ。



『いでよ! アカキ・フェニックス!!』


エリスに迫っているエンプーサの両鎌の前に召喚陣が激しく輝き

エンプーサの振り下ろした両腕の鎌を弾き返しエンプーサを後退させた。


エリス、エンプーサが召喚陣を見つめて居ると召喚陣の中から光が徐々に人型の形になり激しいく光った後に光が収まりフエニックが召喚された。


エリスはフェニックスと目が合い


「∮∑∟┸ф §◎¥∈▽⇔∝∽」


フェニックスはエリスに何かを叫んで居るが・・・・


「すみません。 フェニックス語が分からないです・・・」


死が分かつまでと言った割には冷たいエリスだった・・・


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