第1話(2)やっぱり俺は俺が好き
教室へ行くと一同の視線を集め急にクラスが静まる。俺には話せる相手はいるが友達と言える関係のやつはいない。孤高と言えば聞こえはいいが実際は孤独である。だが、俺は特に何も思わない。こいつらに信用できるだけの価値がないから。
特に何も無く昼休みになり、授業中に食欲と眠気でものすごいアホ面になってた謙を引き連れ俺は屋上へと向かっていった。
屋上のドアを開けるとそこには1人の女がいて、謙が急に眠気が消えたかのようにキリッとした目で見つめる。
「あー。可愛いなぁちくしょう。俺も彼女がぁ欲しいぜ。」
そんなことを言いつつもこの告白の結末を知っているので、彼はその場に座り先に弁当を食べ始める。そんな謙を置いていき僕は彼女の元まで歩いていくと、彼女が気づいたようで真っ赤な顔で近づいてくる。
「あ、あの。好きです!付き合ってください!」
この言葉。謙や、普通の人から言われた時点でスクールライフを満喫できたりリア充になれたりと脳内パリピになれる言葉なのだろう。
だが、俺はそんなことは思わない。むしろ俺はこれを言われる度に悲しくなる。
自分のことを少ししか知らないくせに良く告白なんてできるな。あんたと会ったのはせいぜい2~3回だろうに。
なんてことを考えてしまう。そんなやつを信頼出来るわけが無い。
だが、ほんの少しの。俺の事を知ってるかもしれないと信頼出来るかもしれないというほんの少しの希望を持ってこう聞く。
「俺の事が好きなら好きなところあげてみろよ。」
そして彼女は頬を真っ赤に染めてこう答える。
「か、顔とか。イケメンだし。運動神経もいいんでしょ?」
恐らく俺や堂島は1年だからこの人は上級生だろう。考えるだけで吐きそうになる。噂と、外見だけで告白?この人は人生をゲームと何かと勘違いしてるのではないだろうか。もう考えたくない、考える価値もないと思い
「ごめん。無理。」
こう一言いい、彼女が立ち去るのを待つ。1分くらい泣きじゃくった後、彼女は走り去っていった。
「はぁ。また泣かしたのかよ。」
「お前なら分かるだろ。」
「まぁ。分からなくはないけど。」
そう。俺が信頼しているのは俺だけ。絶対に裏切らないから。何があっても俺は俺のそばにいてくれるから。
とある昔の思い出から、人は信頼できるものでは無い。と学んだ。家族である母と妹、そして謙には多少なりとも信頼はしているけど。
「おっ、美味そうな弁当じゃん。唐揚げもーらい。」
「お前!俺の唐揚げを!」
「うっせ!お前だけモテる罰だ。」
こんなくだらないやりとりに安心感を覚える俺は末期なんだな。なんてことを考えながら残ったもうひとつの唐揚げを頬張った。
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