第2話

 落とし穴の中で夜を迎えようとしていた時、僕は負の心で満ち始める。


 なぜいつも辛い思いをしなければいけないのか。

 僕は何も悪いことはしていないのに。

 翼がないだけなのに。

 ああ。


 僕はさらにネガティブになっていく。


 翼がない自分がいけないのかもな……。

 何でいつも…………。

 翼さえあればいいのに。


 そしてヤネスに対しても負の感情が生まれる。


 ヤネスは絶対に許さない。

 絶対に復讐してやる。

 もう耐えられない。



 僕は冷静になることができないでいた。

 するとその時、

 ぞわーーっと僕の周りの空気が変わる。

 

 !?


 これは…………!?


 何かが現れそうな予感。

 空を見ると、暗闇の中金色の雲が続々出現する。


 これは…………、

 …………まさか!


 僕は光に照らされると、頭の中に声が聞こえる。


「やあぁ~~!! アルタスちゃ~~ん!!」


 この声は!

 まさか!

 僕の体がジュワーっと反応する。


「お久~~!! 神様だよ~~ん!」


 ……神様!


「か、神様!!」


「ホントお久~~! 元気にしてたかしら?」


「…………は、はい!」


「嘘つかないの!! さっきまでは暗そうな顔してたわよ??」


「…………は、はあ…」


「まあいいけど~~。それより早速聞きたいことがあるのよ~~」


「……き、聞きたいこととは?」


「あなたヤネスちゃんに酷いことされたでしょ??」


「…………」


「そのことについてどう思ってるわけ?? 正直に言いなさい」


「…………はい。僕はつらい思いをしました。だからヤネスに復讐したいと思っています」


「復讐ねぇ。それもいいけど~~、こういうのはどうかしら?? 旅に出ることよ!!」


「…………旅、とは?」


「そう旅!! サーマ森林の方向に旅に出るといいわ!! 森の先に到達すれば、復讐よりもいい答えが待ってるわ!!」


「…………本当ですか?」


「ええ、ほんとうよ」


 なぜ旅なのかはわからない。

 だが神様はてきとうなこと言わない。


「…………考えてみます」


「それがいいわ!!」


 復讐よりもいいものがあるなら、旅に出てみるか?


 するといつの間にか元の空気に戻っていて、神様がいなくなっていた。



 

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