第54話

 それからも俺は徹底して領地を強化し続け、結果的に俺の領地は一大領地へと生まれ変わっていた。



【領地称号】 強大領地


【領地レベル】 10(0/2048)[大都市レベル]

『戦力』 534(1/155)[人口](501/563)

『農業』 532(0/145)[畑](200/532)

『商業』 534(0/155)[商店](24/53)

『工業』 540(0/185)[鍛冶場](5/5)



 すでに大都市レベルらしい。

 これも時間経過でドンドン上昇している。

 本当に俺自身この数値に関しては眺めているだけで良くなった。


 これは最初、一から上げていった時に比べるとかなり大きな進歩だ。


 ただ、それとは別に領主として別の問題がどうしてもつきまとってしまう。

 数字には見えない、町中でのトラブル。


 どうしてもそれらは起こりうるし、それを解決するのも領主の仕事だ。


 ――ボタン一つで解決してくれたら良いのにな。


 苦笑を浮かべながら俺は日夜そのトラブル解決に向かって、奮闘していた。


 そんな俺をサポートしてくれるのがクルシュとラーレ。

 いち早くラーレがトラブルを察知して、俺に報告。

 現地へ出向くとクルシュが当事者たちを説得。


 ――あれっ、俺必要ないんじゃないか?


 何度もそんなことを思うときがあった。

 しかし、それを二人に言う度に。



「そ、そんなことありませんよ。ソーマさんがいるから私の説得に応じてくれるんですよ」

「べ、別にソーマはいなくても良いんだからね!」

「ら、ラーレちゃん、そんなこと言ったらダメですよ!」

「でも、ラーレもそういう割には毎回欠かさず俺に報告に来るよな?」

「っ!? も、もう知らないわよ!」



 顔を真っ赤にしてそっぽを向くラーレ。

 しかし、すぐに機嫌を直し一緒に問題解決に紛争してくれる。


 そんなことをしているとアルバンがエーファやサイルを連れてやってくる。

 もちろんその手にはたくさんの魔石が持たれていた。



「ソーマ様! 今日も大量でしたよ!」



 嬉しそうな表情を浮かべながらその魔石を渡してくる。

 パッと水晶を見ただけでも、基本Sランクの魔石で、いくつかAランクが混じっている程度だった。



「むっ、私が一番倒しましたよ。たくさんぶっ飛ばしてきたんですよ」



 エーファが拳を振り上げる仕草をする。



「ぼ、僕もついにSランクの魔物を倒せるようになったんですよ」



 サイルも嬉しそうに話してくる。

 それよりも、これだけの数があったらそろそろピコハンの強化ができるんじゃないだろうか?



 俺は改めてピコハンを確認してみる。



【名前】 ピコハン

【品質】 S [神聖武器]

【損傷度】 7/100

【鍛冶】 S級魔石(1005/1000)→金のピコハン

【能力】 特になし



『鍛冶を行いますか?』

→はい

 いいえ



 いよいよか……。


 Sランクの魔石をここまで要求してきた武器はない。

 武器だけではなく、畑等でもここまでの数を要求してこなかった。


 おそらく、最高の武器へと成長するはずだ。

 少し期待のこもった視線を向けながら、鍛冶を行う。


 すると、その瞬間にハンマー部分が金色に変わった……だけのピコハンが姿を見せていた。


 いや、名称も『金のピコハン』だったもんな。

 つまり、どんな特殊な能力を持っているのか……。


 期待をしながら水晶を見る。



【名前】 金のピコハン

【品質】 S [神聖武器]

【損傷度】 0/-

【能力】 特になし

【詳細】 やり込みの証。永遠に壊れることのない武器。



 ………………。


 俺は手に金のピコハンを持ったまま固まった。

 確かに素材を集めるのがすごく大変だった。


 それこそ、とことんやり込んだ……といえるくらいに。

 だからって、よりによって出来上がった武器がただのピコハン……。


 壊れないからって、元々使えない武器なら使うこともない。

 思わず体が震えだし、怒りのあまり金のピコハンを思いっきり地面にたたき付けていた。



「こんなものつかえるかー!!」



 ピコッ。



 可愛らしい音が鳴った後、ピコハンの損傷度が一上がっていた。

 なるほど、あとはどれだけこの損傷度を上げていけるか……。

 そんなやりこみをしろってことなのか。



「くくくっ、いいだろう。そっちがその気ならこの数値もとことん上げてやる!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る