第55話
時は少し遡る。
俺が激昂を使いこなせるようになり、魔王が襲撃してくる前のタイミング。
これからどう町を強化していくか考えていた。
【領地レベル】 4(16/32)[村レベル]
『戦力』 12(15/75)[人口](17/21)
『農業』 8(34/45)[畑](8/8)
『商業』 9(41/50)[商店](1/9)
『工業』 15(0/90)[鍛冶場](1/1)
これが現在の領地レベルである。
ただ、純粋にこの町は襲われることが多い。
辺境であるということと、隣の領主に目を付けられていること、他にも様々なトラブルによって、常に外敵からの恐怖に駆られていた。
「……それならまずは城壁を作っておきたいか」
城壁といえばやはりブロックなりレンガなり、それなりに頑丈なもので作らないといけないだろう。
そう考えると必要になってくるのは石材。
それもそれなりにランクの高いものがいるだろう。
【名前】 石ころ
【品質】 E [石材]
【必要素材】 D級魔石(0/5)
【鍛冶】 E級石材(35/10)→石のオノ
この領地に保管してある石材はこれだけだった。
今までは開拓に必要な物ばかり優先して拾ってきていたので、この結果は仕方ない。
ただ、これから領地を守ることを考えていたら、城壁は必ず必要になるものだった。
「うーん、石材か……。でも、建築スキルにはまだ城壁は表示されてないんだよな。他にも必要な素材があるのだろうか? それとも純粋にランクが足りないのか?」
「どうしましたか、ソーマさん。なにか悩んでいるみたいですけど」
町中を歩きながら考え事をしていると、クルシュが声をかけてくる。
せっかくだからクルシュにも相談してみるか。
「いや、最近色んな人に襲われていただろう? だから城壁を作った方が良いのでは、って思ってな」
「そ、その……私が攫われたから……ですか?」
「いや、クルシュだけではないかな。俺にはこの領地に住む皆を守る必要がある。そのためにできることを考えていたら領地を守る城壁がいるかと思えてきたんだ。でも、作るための素材がまだわからない。無駄骨になるかもしれないが――」
「やりましょう!!」
俺の迷いを吹き飛ばすかのようにクルシュは力強く言ってくる。
「でも、クルシュにも色々と素材をとってきてもらうことになるぞ? それが無駄になるかもと考えると……」
「私なら大丈夫です! むしろやらない理由がないですよ!」
「そう……だな。ありがとう、クルシュに相談して良かったよ。それじゃあ明日から城壁を作るために頑張るか!」
「はいっ、頑張りましょう」
クルシュが笑みを見せてくれる。
その優しげな表情に何度助けられたか……。
直接はあまり言わないものの心の中でクルシュにもう一度お礼を言っていた。
◇
次の日から俺たちは石材の採取を開始していた。
目標は今あるE級石材の一つ上。D級をいくつか採取すること。
あわよくば、C級を採取できれば……。
そう思っていたのだが――。
「ソーマさん、こっちにも落ちてましたよ」
「あ、あぁ……、助かる……」
クルシュがポンポンとC級石材を集めてしまっていた。
むしろD級石材の方が少ない。
おそらくはクルシュの採取スキルが影響しているのだろう。
【名前】 クルシュ
【年齢】 18
【職業】 メイド
【レベル】 1(1/4)[ランクE]
『筋力』 1+1(25/100)
『魔力』 1+1(0/100)
『敏捷』 1+1(41/100)
『体力』 2+1(4/150)
【スキル】 『採取』10+4(18/5500)『釣り』3+2(37/2000)『給仕』1+1(1/1000)
気がつくとクルシュの採取スキルは十になっていた。
ずっと採取しかしてもらっていないのだから当然だろう。
しかし、それと鼓舞の効果もあり、取れる石材レベルとしてはC級となっていたようだ。
【名前】 石ころ
【品質】 C[石材]
【損傷度】 0/100
【必要素材】 B級魔石(0/15)
【鍛冶】 C級石材(0/10)→レンガ
C級になっても石ころは石ころなんだな……。
作れるものから考えると粘土とかになっててもおかしくないんだけどな……。
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