第35話

 とにかく今は手に入れられるだけの毒草を集めておくことにする。


 ただ、やはり採取スキルの差か、クルシュほど大量に集めることはできなかった。

 最低限、万能薬を作ることができるほどの量だけを集め終えると、大量の魔石と共に領地へと戻ってきた。



「中々良い訓練になりました。主様、ありがとうございます」



 エーファがお礼を言ってくる。

 確かに全ての能力値が一だった彼女のステータスはずいぶんと上昇しているようだった。



 【名前】 エーファ

【年齢】 10752

【職業】 白龍王

【レベル】 3(0/4)[ランクE]

『筋力』 1(75/100)

『魔力』 8(53/450)

『敏捷』 1(14/100)

『体力』 2(52/150)

【スキル】 『威圧』1(200/1000)『龍魔法』2(53/1500)『飛翔』1(42/1000)



 もう魔力の数値が八になっていた。

 おそらく、能力値が下がってからずっと魔法を使っていたのだろう。

 それに龍魔法の数値が上がっている。


 かなり努力をしてくれたんだろうな。


 この調子で続けてくれたら、あっという間に元の能力を取り戻してくれるんじゃないだろうか?



 そして、アルバンだが――。



【名前】 アルバン

【年齢】 36

【職業】 聖騎士

【レベル】 20(0/4)[ランクC]

『筋力』 30(859/2050)

『魔力』 11(343/600)

『敏捷』 5(132/300)

『体力』 24(595/1250)

【スキル】 『剣術』11(655/6000)『聖魔法』4(10/2500)『木工』3(1553/2000)『威圧』6(15/3500)『剛剣』2(584/1500)



 さすがにほとんど能力は上がっていないな。

 この辺りはレベルが高くなると上がりにくくなる……とかもあるのだろうか?


 確かに次に上がるまでの数字も増えている。

 でもそれとは別に経験値の数字も上がりにくくなっている気がする。


 なるほど……、能力を特化させて一気に上げるにはレベルは低い方が良いんだな。

 ――つまりエーファと同様にクルシュも能力を取ったさせたら戦闘が強くなる?


 いや、戦闘系のスキルを持っていないのだからさすがに厳しいか。


 でも、これからこの領地に来てくれる人がいたら、その人に関しては能力の上げ方も考慮していけば良いかもしれないな。


 そのためにも個々の能力の上げ方も調べておく必要がある。

 とりあえず魔力に関しては、実際に魔法を使う、もしくは使おうとする。他にも魔道書を読む……等で上げることができるのはわかった。


 これは実際にエーファがしてくれている上昇方法なので間違いはない。



 そして、筋力は概ね重たいものを運んだりしたときに上昇している。

 これは普通に筋トレをしているのと変わりないのだろう。


 そこまで考えると敏捷は走ったら上がりそうだな。


 体力は……長距離走?


 なんだろう……。ここで部活動をするような感じになってしまうな。


 まぁ、それも仕方ないな。

 上げ方は固定化しておいた方が効率がよくなっていくだろう。






 次に俺は万能薬を作り始める。

 ただ、あまり毒草の数がないので失敗はできるだけ減らしたいな。



【名前】 毒草

【品質】 D[雑草]

【損傷度】 0/100

【必要素材】 C級魔石(1/10)

【錬金】 D級毒草(113/20)→万能薬(D級)


『錬金を行いますか?』

→はい

 いいえ



 早速錬金を始めてみる。

 現れたのは、回復薬と同様に様々な液体。

 これを適量で混ぜていけば良いのだが――。



 ボンッ!!



 やはり、一度では上手くいかないか。

 ある程度、量を調整していくしかないな。



 それからも数回試してなんとか万能薬を作り上げる。



【名前】 万能薬

【品質】 D[薬]

【損傷度】 0/100

【必要素材】 C級魔石(1/50)

【能力】 病気を治す[D級]



 なるほどな。

 病気を治すのが万能薬なんだな。


 効果としてはランク相応に直せる幅がある……というところなのだろう。



「あらっ、それってもしかして――」

「あぁ、万能薬だ」



 ラーレが尋ねてきたので、それに答えると驚きの表情を見せる。



「ほ、本当にもう万能薬を作ってくれたの!?」

「いや、まだこれから品質を上げていく必要があるな。Sランク級の万能薬にするためにどれだけの魔石がいることか――」

「魔石で良いのね。それならドンドン魔物を倒していきましょう!」



 ようやく希望が見えてきたのか、ラーレの表情はいつにも増して明るいものに変わっていた。



「そうだな。この万能薬をC級にするのにどうやらC級魔石が五十個必要みたいだが、頑張って集めていくか」

「えぇ、そうね。……えっ!? 五十個!?」



 さすがに個数が多すぎて驚きの表情を浮かべるラーレ。



「えっと、C級っていうとオークとか倒さないといけないのよ!? それを五十個なんて――」

「S級にするためにはもっと強い魔物を倒していく必要があるんだぞ? とにかく、今は能力を鍛えて、どんな魔物でも戦えるように鍛えていくしかないな」

「わ、わかったわ。あんたばかりに頑張らせるわけにはいかないもんね。私もとことん鍛えていくわよ」

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