第3話
「はぁ……、はぁ……、やったのか?」
大急ぎで力の限り出てきた木の板を打ち付けた。
あまり、小屋として変わったようには見えないが、やり方はこれで間違っていないはず――。
出てきた道具は時間経過とともに消えてしまった。
【名前】 古びた小屋
【開拓度】 1(1/10)[戦力]
【必要材料】 E級木材(0/10)
【状況】 隙間風が吹く。
どうやら倒壊の危険だけは回避されたようだ。
開拓度もカッコ内の数字が一つ上がっている。
でも、これで発展させられるとわかったわけだからとことん素材を集めまくれば良いわけだ。
――そういえば素材の画面に鍛治について触れてあったな。
もしかして同じ作り方で鍛治ができるのだろうか?
必要になるのかE級木材。
つまり、その辺から木の枝を拾ってきたら作れるはずだ。
最初見た画面からここは魔物達が生息する、回りを危険に覆われた地……だったはず。
いつ襲われるかわからない以上、武器もある程度作っておく必要がある。
ある程度領地が整ってくれば必要ないのだが、俺が一人の間はそんなことを言っている場合でもない。
「とにかく、今は木の枝を集めるところから始めるか。どうせ余っても問題ないわけだから多めに拾ってこよう」
俺は新しくなった小屋から離れると木の側で枝が落ちていないかを探しだした。
数時間後、俺の手には抱えきれるだけの木の棒があった。
十本は優に超えている。
小屋の時を考えるとおそらく『鍛治をする』を選択すると必要な道具だけが出てくるのだろう。
小屋のときみたいにわかりやすい物が出てくるとは限らない。
むしろ難易度が上がる度にその工程も増えていく……と見ている。
これは実際にしてみないと結果はわからないが――。
とにかく、そうなる可能性がある以上どこかに腰を据えてじっくりやる必要がある。
かといって一度で成功する……なんて甘い考えも持っていない。
この大量の木の枝はいざ失敗したときに、再度挑戦できるようにするための物だ。
二、三回くらいはできるだろうか?
早速木の枝の画面を開く。
【名前】 木の枝
【品質】 E[木材]
【必要素材】 D級魔石(0/5)
【鍛冶】 E級木材(32/10)→木の棒
『鍛冶を行いますか?』
→はい
いいえ
どうやら今、木の枝は三十二本……いや、今水晶に映している分も合わせて、三十三本あるようだ。
そして、予想通り鍛冶の選択肢が現れていた。
ここは当然ながら『はい』を選択し、水晶からなにが現れるのかを注視する。
すると、ポンッと木の棒が飛び出してくる。
何の変哲もない特に整えられたわけでもない、一メートルほどの長さの棒。
そして、水晶にはそれ以上、なにも表示がされていない。
……えっと、鍛冶だと勝手に完成品が出てくるのか?
いや、それは早計だな。
今回がなにもすることがなかったから完成品が出てきたのかも知れない。
ここも要チェックだな。
とにかく出てきた木の棒を手に取ってみる。
特に手に馴染む……とかそういった感じはない。
元々【辺境領主】である俺に武器の特性がないのだから仕方ないだろう。
軽く振って武器として使えるか試してみる。
ブンッ、ブンッ……。
うん、わからん。
そもそも特別なにかを習っていたわけでもない俺にわかるはずもない。
でも、とりあえず魔物に襲われたときにはこれでひたすら叩きまくろう。
とにかく、出来上がった木の棒は一度水晶で調べておく。
【名前】 木の棒
【品質】 E[武器]
【必要素材】 E級木材(22/20)
【鍛冶】 E級石材(0/10)→石の槍
【能力】 筋力+1
しっかり能力としての補正が付いているようだ。
ただ、この木の棒を成長させることができるみたいだが、石を集めたら槍が作れるようだ。
さて、どっちを選ぶべきか……。
いや、どっちかを選ぶ必要なんてないな。
素材は拾ってこれば良いだけだ。
なら、両方とも作ってしまおう。
まずはこの木の棒だな。
俺は更に必要素材を使って、木の棒の品質を上げる。
……。
新しく出来上がった木の棒は少しだけ硬化してくれた気がする。
能力の上昇値も一から二に上がったし、この調子でどんどん上げていけたら……と思ったのだが、残念ながらそう簡単にはいかないようだ。
次に必要になるのはD級木材。
残念ながら落ちている木の枝だとどうすることもできない。
おそらくこの辺りからは木を伐採していく必要があるのだろうな。
もちろんそんな道具もないので、これは保留だ。
とりあえず今は集められる素材を回収していくだけだな。
再び俺は素材となる物を集めに行く。
領地側の森林で簡単に木の枝が見つかるので簡単で良いな。
ついでにその辺の石も拾っておいた。
これで小屋の開拓度を上げるのと石の槍を作ることもできるだろう。
さて、それじゃあそろそろ戻るかな。
小屋に戻ろうとしたそのタイミングで木陰から青いゼリー状の物体が現れる。
それを見た瞬間に俺はサッと見つからないように木の後ろに隠れていた。
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