2月半ばの悪夢

シェンマオ

第1話

季節は2月半ば、雪もちらつき寒さ厳しい時期である。


「あらぁ〜、お兄さんケーサツの方なのおぉん?」


「は、はい」


しかしこの寒空に反し、自分は額に浮かぶ汗が止まらない。

というのも、とち狂った上司に勧められいわゆる

「おかまバー」なる所へ1人やってきてしまったのだ。


どうせ独り身、外を歩いてもコートに体を埋めるだけだと思い、フラリと立ち寄ったは良いが早々に後悔した。


「あら、緊張しちゃってんの!カワイイ〜」


ネットリとした喋り方、ジットリとした屋内。

コートを1枚脱いだだけでは割に合わない程の熱気が滞っている。


諸悪の根源は自分を取り囲む美飾服に身を包んだ獣たち。

重ねに重ねられた化粧、どキツイ臭いの香水。ううむ、形容しがたい


しかし、そうは言っても彼らも市民。

警察という職に就く人間がここで彼らを蔑ろにする訳にはいかないと、注いでくれた酒をあおり、酔いの力に任せて滑らかなコミュニケーションをはかった。


―――どれだけの時間が経っただろう


「お兄さん、お話上手ねえ。私もつい呑みすぎちゃったわァん」


いかにも服のサイズを間違えている恰幅の良いおネエさんが頭をもたれかからせて来た。

随分重いが、自分も随分酔ってしまったのか感覚がハッキリとしない。


悪酔いしてしまったのか、随分と視界がグラつく。おネエさん達が何か言ってるがよく聞き取れない。


ボンヤリした意識の中で、それでも「これは不味いことになったなぁ。家までちゃんと帰れるかなぁ」なんて考えていた自分だったが、ふいに意識が覚醒した。


気が付くと自分は見知らぬベッドの中にいた。

体を起こし、暫し状況を整理していた自分だったが、ふとすぐ隣で何かがもそりと動く音を聞いた。


その光景を見た自分は絶句し、頭を抱えた。



今日は2月14日。

やけに尻の痛む朝となった。

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2月半ばの悪夢 シェンマオ @kamui00621

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