第11話 未知との遭遇
謎の女の行為はエスカレートしていく。
★★
ある日、アルバイトから帰る途中、夜空を見上げると白く光る物体が近づいてきた。
危険を感じ、原付バイクに乗っていたため、道路脇に寄り、ヘルメットを外した。
その瞬間、目の前に火花が散った。
ぼわ~んとした空間を、一生懸命クロールしている夢を見た。
お金のプールに飛び込み、小銭を食い漁る夢を見た。
体を雑巾のように絞られ血を垂らす夢を見た。
それは、夢なのか幻なのか、気が付くと宇宙空間を遊泳している。
両手両足を見えない管で繋がれているようで、身動きが取れなかった。
宇宙から見る日本は薄暗かった。
東京だけやけに明るいと、昔学校で教わった気がしたが、それは嘘なんだと思った。
★★
謎の女は札束が詰まった財布を持ってきたので会ってほしいと連絡してきた。
もちろん断ったが、AM1時アパートの呼び鈴が鳴った。
昨日の不思議体験といい、謎の女からの電話。
恐怖しかない。
恐る恐るでも声を張り上げて「どちら様ですか?」
「わいや、開けてーな」
「え?」
「夜遅くにごめんな」
この声は、バイト先の親方
ドアを開けると、ビールを片手にニコニコした親方が立っていた。
「どうしたんすか?」
「いやー奥さんに追い出されちゃって」
「まあ上げてーな」
不倫現場を奥さんに見つかり、追い出されたようだった。
親方はミュージシャンを目指して上京したが、夢かなわず建設業を始めた。
ワタシは親方の生き方は嫌いではなかったが、どこかしら信じられない部分を持っている人だった。
「親方、実は最近不思議な体験をしてるんです。」と制作中の体験、気を失って不思議な夢を見たこと、謎の女性から電話があることを話した。
親方はニコニコして聞いているのか、聞いていないのか分からない表情をしていた。
「それは、東京が嫌いになってるんちゃう?」と一言。
全く意味が分からなかったが、体の芯に響くものがあった。
★★
大学では作品の講評があった。
ヨビコウ時代、デッサンの講評ではいつもビリだった。
どう頑張っても上位に食い込むことは無かった。
大学では違った。
周りの学生がほとんど真面目に制作をしないため、ワタシは割と褒められていた。
しかし、周りの仲間からは冷ややかな感想をもらっていた。
「教授に認められているうちは、古いってことなんだよ。」
言われていることは分かるけど、どうしたらいいのか分からない。
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