第2話     何処より来たる


ゴゴゴゴゴー

‼︎なんだ? 揺れている?

何事だ?

「影の英雄アシル・アモルバーンに命ずる、ここヘルヘイム地下大宮殿より地上に上がり、異常がないか確認せよ。重ねて配下のものには宮殿内の異常がないか執事長及び侍従長と連携して確かめよ!」


『はっ!かしこまりました!』


ふむ、やはりこのゲームは良いな。会話話できないものの、命令はコマンドではなくて良いのだから。これほどまだに自由度の高い作品はこれから出てこないのではないかと思うほどだ。

それ故に惜しいと思ってしまうが、仕方のないことか。それにしても、サービス終了間際に何があったと言うのだ。世界の崩壊をリアルにしているのだろうか?早く報告を聞きたいものだ。



遅いな。ふむ。

「アイギス!連絡は取れるか?」

どうやって取るのか知りたいところだが。

「可能です。ギルメガルド様。」


取れるのならとっていて欲しいものだ。流石にNPCに自ら考えろというのは酷か。


「ならば今どうなっているか聞け。」

「かしこまりました」

さて、何があったのかだが。

続編でも出すのかねぇ?そのための災害か、もしくは謎の敵キャラによる襲撃か。


興味は尽きないもんだ。

「ギルメガルド様。どうやら地上に出たところすぐの場所に巨大な木が生えているとのことです。」

なるほど

「ふふ、どうやら世界樹の種が芽吹いたようだな。」


「なるほど、そういうことですか。」


それにしても、いま芽吹くのか。後のためのアイテムということか。

さすがギルドアイテム。

    【ユグドラシル・オブ・ヘルヘイム】

祝福の種:世界に祝福をもたらす種。

    ギルドアイテムで、世界にこれ一つしか存

    在しない。祝福は様々で環境によって変化

    する。使用方法は普通の植物と同様に土に

    植えるだけである。



確かにいつ発芽するとは書いていないわな。

それにしても、どんな効果があることやら。

それは次回作で確認するとするか。


「ギルメガルド様!緊急事態にございます。」

「何?何があった?アイギス」

「はい、それが今アシルから周囲に見たことのない森が広がっていると連絡が入りました。」

「なんだと?」

祝福の種か?いやあれにそんな効果はない筈だ。ん?いや祝福の効果なのか?

「他には何か異常はないのか?」

「それが森を抜けたところに見たことのない人間の集落があるようです。」

なんだと?そんなはずはない。ここは死者の国ヘルヘイム。全てアンデットになってから来ることのできない世界。人間がいること自体おかしい。

「とりあえずアシルを帰還させろ。」

「はっ!」

何があった?いや何処かから来たのか?どうやって?世界樹の祝福か?よくわからん。まぁいい、もう終わるからな。

ん?ちょっとまて、もう終わっていてもおかしくない時間のはずだよな?

集めた時点で既にあと5分だった。もう30分はたっているぞ。

 まさか、このサーバーを変更を加えて使う予定だったのか?その変更のためのプログラムが祝福の種に含まれていたと、考えられなくはないか。

しかし、ん?ちょっと待てよ。先ほどアイギスが相槌を打っていたな。まさか、いやそんなことはありえない。だが、GMの名前が。いやしかしな。


「アイギス、見知らぬ場所に転移した可能性はあるか?」

「はい、あり得るかもしれません。しかし、そのような魔法を使える存在は、いないと思われます。無礼を承知で申し上げますと、ギルメガルド様ですら難しいかと。」

「道理だな、この宮殿には個人の魔法のみならず、魔法アイテムによる効果ですらレジストする、ギルドアイテムが存在しているからな。」

とりあえずここがどこか確認する必要があるな。環境の変化だけで、場所は変わっていないのが一番なのだが、そううまくはいかんだろうな。

調査させている間にログアウトして、他のギルメンを呼ぶべきだな。

ん?んん?んんん?ログアウトできない……

他のメンバーが気づいてくれるはずだ。明後日にみんなで集まる約束があったからな。

誰かギルメンが来ていないかだけでも確認すべきか。

ピッ  待てよ、それはやばい。


ギルド【ユグドラシル・オブ・ヘルヘイム】

メンバー  :35人

オンライン :35人

本拠地   :ヘルヘイム地下大宮殿

加入条件  :異形種であること。成人している

      こと。


………

全員来ている。探すか。帰れないかもしれないな。

さてこれが事実であるのか確かめるとするか。

メッセージ


ギルドメンバー:「今どこにいるかわかるか?

        宮殿内にて返事を待っている。」

ブブッ  早いな。

  メリル:「森の中にいるわ。はっきりとはわから

      ない。魔力切れでサーチが使えないか

      らね。ほんと大変よ。」

マスター:「こちらは砂漠のようだ。こちらには

      私を含めて18人いる。戦闘時のままの

      状態だ。我々はどうすれば良いギルメ

      ガルド。」

なるほどみんなきているには違わんようだ。さてどうするかだが、

「イリス、お前の部隊で探せるか?」

「もちろんにございます。ギルメガルド様」

「ならば行け」

「かしこまりました」

さて

ギルメガルド:「イリスに捜索させている。すぐに見

       つかるだろう。とりあえずは回復に

       つとめ、余裕があれば周辺調査をし

       てくれ。」

他はまだか?


ブブッ   きたか。


武人イカヅチ:「こちらイカヅチは我を含み10名。

       川の近くの草原と思われる。

       周辺調査の結果魔物の生息を確認。

       新種と思われる。以上だ。」

なるほどこれは面白い。


ギルメガルド:「了解した。イリスの部隊が到着す

        れば指示に従ってくれ。」




さて準備をしておくか。










       

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る