深淵に座するモノ
The King
プロローグ
第1話 常闇の生誕祭
我は英雄、我らは勇士、奴を砕き平穏をもたらすモノ。
ここに偉大な、伝説に記されるであろう戦いが始まる。1人の英雄を長に置く、異形の者たちが集まっていた。
相対するは、光。暗い光。輪郭のない全てを吸い込む闇、だが見つめることのできない眩しさ。あれはなんであるのか?
全てのものはこう呼んだ。「ユミル、始まりの邪神、世界の贄たる神ユミル」と。
あれが何であるかは誰も知らない。だが、世界の創造主がそう名付けた。故にあれはユミルである。
最高神オーディンとその兄弟たちによって、殺され、世界の創造の糧になったはずの、原初の神。残酷な性格故殺され、世界の糧にされた哀れな神。
それが今、我らの前に蘇り世界へと復讐を始める。
しかしそれは、我らの知らぬこと、守るべきものを守るべく、ここであれをもう一度葬り去る。
我らにできることは、ただ愛するものを思い、全力を持って生き残ること。それのみである。
故にここに宣言する
「我、英雄なり。我ら勇士なり。ただひたむきに努力せしものたちよ。愛するものを守るために、我らは立ち上がる。何も恐るな。奴は恐るに値しない。我らは強い、我らは不屈、我らは笑う、我らは守人である。さあ、幸せを守りに。行くぞ‼︎我らの笑顔を守るために‼︎」
『おおおおおおぉぉぉっっっ!!!!!』
さあ、神殺しの英雄の誕生だ!
「ふ〜、少し疲れたな。」
流石に半日もかかると思わんかったな。
ラスボス討伐イベント
あれはマジでやばかった。さすが原初の神と言ったところか。それにしても、俺たちのギルドで半日の激戦とはもう他のギルドには勝ち目ねえな笑。
とはいえこれで、サービス終了になるのか。
あと半日で終わりとはな、流石に思わんかったがな。
あーこれでラストオーダーも終わりか。
なるほど、だから、ラストオーダーな訳だ。
最初で最後のオーダーだったがな。
寂しくなる。
しかし名作は名作として終わる。そうあるべきだから。
さて、飯食って風呂も入ったし、最後くらいはギルド長として、ギルド拠点で終わりを迎えるとしよう。
コツコツコツ、私の足音だけがこの空虚を感じさせる回廊に響く。
流石に、みんな疲れて寝たんだろうな。
戦いが終わった時にそのまま祝勝会して、解散したしな。みんな明日仕事朝早いからな〜。それにみんないつでも連絡取れるし。
さてそろそろ終わるかな。ならばここから場所を移すべきか。ギルド会議室、円卓の間から。
「テレポート」
ふむ、やはりいいものだな。王座というものは。
座り心地も良い。しっかし、俺が一番まとめ役に向いていて、強くても、何も王座を作るこったぁないよな。当時を思い出して、思わず苦笑いをしてしまう。そんな表情筋など今は存在していないのだがな。
それはいいとして、俺の右前にひざまづいているのは、確か、十人のNPCつまり、各階の番人を統括するモノ。正式名称を第一席次守護司及び守護司長、名を アイギス・アモルバーン。
ふむ、みんなでアイデアを出して作った最高傑作だけあって、容姿はもちろん性能までも美しさを感じる。
確かユミルの破片を生まれる瞬間に受けてしまったことで、天使でありながら悪魔でもあるという設定だった筈だ。
ピコン
あっていた。ん?今文字化けしたのは気のせいか?まぁいい、それよりも、スリーサイズの設定までしていたとは、さすがマルキルさんだな。
そろそろ終わりか。あと5分
全てのNPCをここに集めるか。最後だから寂しくならないように。
『ギルメガルド様、我ら守護司及び、配下のもの全て参上いたしました。』
ほぉーこれは壮観だな!
年甲斐もなくはしゃいでしまいそうだ。一死乱れぬ完璧にシンクロした動き、さすがNPCだ。
いや?そういう設定にしたんだったか?まぁいいか。
ふふっ さようならギルド
「ユグドラシル・オブ・ヘルヘイム」
我ら英雄の集うた地。死者の国の世界樹よ。今こそ、その芽を出す時、育て、希望を与えよ。我らの同胞たちに。
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