7月22日 41−4
「あの子は、もういない。クロは、もう」
その声を、言葉の意味を認識した瞬間、私は崩れ落ちた。
そうだ。そうだった。あの子の名前は、クロ。いつも一緒に登校したあの猫。
そうだった。ぺしゃんこになっちゃったんだ。私のせいで。
真っ赤な血の混じった鏡の破片に頭に傷を負って真っ赤な顔になった幼なじみと、全く同じ顔の、泣き崩れている私の顔が映っていた。
「あなたは悪くない。あなたのせいじゃない」
真っ赤な私は泣きすぎて真っ白になった私にそう言った。そして、思い出した。
そう、この子は私。ここは彼女の家であって、私の家。
ここは彼女の部屋じゃない。私の部屋。彼女は双子の妹だった。
「あなたがあなたを七月二十二日に閉じ込めたの。そして私と、お母さんも」
その瞬間、白くて黒くて不気味なものが私の視界いっぱいに覆う。
ああ。そうだ。これは私。私が私を許さないという決意。血まみれの妹が私を抱きしめる。
ああ、ごめんなさい。
亡くなったんだよね。クロ。
ごめんなさい。
そばにいたのに。
私がもっとしっかりしていれば。
きっと、繰り返したのはクロのおかげ。
私は、私を殺したい。
そんなことばかり考えていた。
無限の悪夢から救ってくれようとしたんだね。
ありがとう。クロ。
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