俺は夢を見ていた。それは今から半年ほど前の記憶。その日俺は居間で何気なくテレビを見ていた。母と幼なじみが近くのソファに座っている。賑やかな雰囲気だ。彼女たちは猫の話をしていた。いつも通学路で会う猫の話。


「あの子、なぜか私たちにすごい懐いてて。いつも一緒に登校してるんだ。○○、特に仲良いよね」


幼なじみが俺に急に話を振ってきた。なんだか強がりを言いたくなって、そんなことないよ、と雑に返す。


「あら、随分な回答じゃない。ホントはデレデレのくせに。知ってるよ、こないだコンビニでにゃおチュール買おうとしてたよね」


幼なじみの発言を聞いて母親は少し意地悪そうに笑う。

「素直じゃないねこの子も。猫アレルギーなのに猫好きは昔からね」


図星を突かれた俺は、少し顔を赤らめてずっとテレビを見ていた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る