041:ロックマンDASH 鋼の冒険心
【タイトル】
ロックマンDASH 鋼の冒険心
【ハード】
プレイステーション
【販売/開発】
カプコン
【発売日】
1997年12月18日
◆『あ~なたに~しか、で~き~な~い~ことがあるー!』
初代プレステのゲームで、3Dアクションというとまずこれが浮かびます。
様々なロックマンシリーズの中でも、未だ続編を求められる人気作!
今回は主にDASH1の話ですが、2と合わせて心に残り続ける名作です!
ロックマン初の3Dアクションシリーズとして生まれたこのシリーズは、明るい雰囲気とその裏にある重厚な設定、PS当時としてはかなり自由度の高いプレイフィールが相まって、歴代ロックマンシリーズの中でも特にコアなファンを持つに至っています。
外部出演も多数!
DASHの魅力は色々ありますが、まずはやはり世界観でしょうか。
文明のほとんどが海に沈み、遺跡を探索してエネルギーを回収する冒険者・ディグアウターが職業として成立している世界。
主人公ロックを初めとするディグアウター達は、「大いなる遺産」の伝説を追って、飛行船を使って島々を旅しています。
それまでのメカメカしさ全開だった元祖ロックマンやXシリーズとは一線を画す、退廃的な文明を持ちながらも冒険心に満ち溢れた世界観。
そして、キャラクター達がとりわけ明るく、ずっとこの世界に浸っていたいと思わせる感じ。
本作のロックとロールのコンビは、ロックマン全体の中でも実にいいコンビです。
というか、ロールちゃんがかなりキャラが立っていると思うのは私だけではないはず。主に費用面で。
ライバルとなる空賊ボーン一家もみんないいキャラしてるので、面白おかしく賑やかにストーリーが進行していきます。
「今度こそお宝はいただきだぁー!!」
◆『明るい街と恐怖の遺跡』
97年といえば、大人気漫画「ONE PIECE」の連載が始まった年。
この時代というのは、とりわけ「冒険」というキーワードが強く意識された時代なのかもしれません。
こう、仲間と一緒に広い世界や危険な場所へ挑んでいくというのがトレンドだったのかもしれませんね。
ともかく、時代にマッチした作品であったことは間違いありません。
この第1作「鋼の冒険心」は、チュートリアルの遺跡を除いたら、終始「カトルオックス島」という島を舞台に冒険を繰り広げます。
こんな世界観なのに舞台が島1つだなんて、などと侮ることなかれ。
島の各地に遺跡が残っており、お宝を巡って空賊たちと戦いつつ、順々に巡っていくことになります。
島の地上では街が発展しており、豊富なイベントが用意されています。
缶をゴミ箱や店に向かって蹴っ飛ばしたり、CDショップで主題歌試し聞きしたり。
寄付したり、自販機蹴っ飛ばしたり、テレビ番組に出たり、美術館の展示品探したり、犬蹴っ飛ばしたり。
あまりに蹴っ飛ばしすぎて身体が黒くなった人も多いんじゃないんでしょうか?
(悪いことすると身体がだんだん黒くなるという仕様で、地味にショップが値上がりしたりします)
こうした、街でやったことが回り回って全体に影響するというのは、後の時代に登場するオープンワールド系ゲームの先駆けとも言えるかもしれません。
街の人々も生き生きとしているので、とにかく歩き回るのが楽しいのです。
一方、肝心のダンジョンはなかなかに薄暗く、恐怖心を掻き立てる仕掛けや演出が練られています。
どうも「バイオハザード」のスタッフも一部参加してるらしく、プレイヤーをビビらせることには定評があります。
えぇ、湖のサブゲートとかマジでヤバいです。
カシャン……カシャン……と、透明の敵が歩いてくる音がもう……
はい、ビビりな小学生だった当時、クリアできませんでした。
後にPSPでDASH1&2のセットが出た時にプレイしなおして、やっとクリアできたのです。
大人になっても、「ビビッ!」とアラーム音がいきなり鳴るのは苦手ですがね。
とはいえ、本作はそれほどアクションの難易度は高くないですかね。
主人公のロックオンが正確なので、ある程度動き回りながら撃ちまくっていれば十分に戦えます。
どっちかというと、探索や武器の装備・改造をどうするかという、RPG寄りなゲーム性に寄せていますね。
遺跡を攻略する順番は決まって入るものの、島はかなり自由に行動できるので、3Dアクションゲームとしては自由度は割と高めだと思います。
ただ、自由度が高いということは、探索し甲斐があるということ。
逆に言えば、しっかり探索しないとこのゲームの魅力は伝わらないということでもあります。
特に遺跡では、結構注意深く探索をやらないと壁の穴とかを見逃しがちです。
アイテムも一品モノが多いので、新装備開発に必要なアイテムを取り逃して、全然装備が増えないなんてことも起こり得ます。
そうなると広い島全体から探すのも一苦労。
ただその分、遺跡の全体像が見えてくると感動もひとしおです。
全ての遺跡が、実はぜーんぶ繋がってたと気づいたときの感動よ。
◆『どんな判断だ!いやもうマジで…』
ロックマンDASHシリーズは1と2、あとは外伝作品である「トロンにコブン」と、作品数がかなり少ないんです。
あの感じからすると、恐らくは1と2で完結というのを最初から決めていたと思うのですが…
人気があっただけにDASH3の開発が企画されたものの、残念ながら開発中止となってしまいました。
DASH3の開発では1つ、実験的なことが行われていました。
「DASH開発室」という、ユーザーからアイディアやキャラクターデザインを募集したり、ゲーム開発している様子を配信するという内容です。
ファンからアイディアを募集するという案は、確かにロックマンらしいものでもあります。
元祖ロックマンシリーズがボスキャラクター案を募集していましたし、その流れで生まれたものなのでしょう。
が、ネタを公募し、且つそれを堂々と配信してしまうというのは、一転すると「最初からネタバレ全開」になってしまうという危険も伴います。
私はそこまで「DASH開発室」を見ていたわけではないですが、ある程度ゲームの構想や中身が見えているというのは、新しいゲームをプレイするワクワクを奪ってしまう可能性も孕んでいるんです。
また、こういう言い方はアレですが、「素人の意見」を寄せ集めることの危険さも、今なら分かる気もします。
ゲーム作りをやってると、「あれもやりたい・これもやりたい」とアイディアがたくさん湧いてきます。
アイディアを出すだけなら、実は結構誰にでもできるモノなんです。
しかし、無造作に突っ込めばいいというものでもないんです。
軸となるものがしっかりしてないと、ただ適当にアイディアをくっつけただけで、「結局これは何が面白いの?」というものが出来上がってしまうんです。
漫画「バクマン」で、漫画好きな素人の意見をかき集めて漫画を描く奴のエピソードがありますが、まさにアレ。
アイディアを集めた結果、とっ散らかって作品の方向性が分からなくなる、という奴です。
アイディアを集めること自体は悪いことではないです。
今のゲーム開発では数百人規模で作るのも当たり前ですから、スタッフでさえもいろんな意見を持つ人が集まります。
でも、それらを取りまとめて良いものに仕上げるには、本当にセンスがいります。
単なるネタに留まらない、専門的な技術や理論を越えた"何か"。
それを感じ取る力に加え、それらを作品として"仕上げる"能力が必要です。
この辺の力を持ってる人が、当時のDASH開発室にはいなかったのでしょうか。
結局、カプコン上層部を満足させるだけのものが作れず、あえなく開発中止となってしまったDASH3。
真相は分かりませんが、随分と迷走してしまったんだろうなと思います。
とはいえ、今からでもDASH3を復活してくれないかと願う人も多いわけで。
私もその一人です。
あぁもう、ロックがずっとあそこにいるままなんて、どんな判断だ!
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