040:NAMCO X CAPCOM
【タイトル】
NAMCO X CAPCOM
【ハード】
プレイステーション2
【販売/開発】
ナムコ/モノリスソフト
【発売日】
2005年5月26日
◆『これぞ森住ゲー、クロスオーバーという愛ある企画!』
私は結構クロスオーバーものって好きです。
スマブラやりまくったからというのもあるでしょうが、やはり知ってる別作品同士のキャラの共演というのは夢があります。
何より、自分の知らない作品を知るまたとない機会。
ネットが広まった今でも、知らない作品に出会う機会って、何かで特集されたりコラボされたりしないと無いと思うんですよ。
だって知らないんだから、調べようがない。
知らないということは、そもそも調べるという種になってないんです。
これは、何事も興味を持てと言われるクリエイターとしてはマズイこと。
そんなこともあり、ゲーマーとしてもクリエイターとしても知見を広げるという意味で、クロスオーバー作品が出たらちょっと注目してしまいます。
ゲーム界隈のデカいクロスオーバー作品と言えばスパロボでしょうね。
ロボットアニメの夢の共演。
現在も続く長寿シリーズですが、クロスオーバーゲームのお手本的存在としても君臨し続けています。
ナムコやバンプレストのスパロボスタッフには、こうした他作品を繋げるノウハウというものを習得しているようです
そんなナムコが放った、新たなクロスオーバー企画。
ナムコとカプコンのキャラクター、夢の共演のシミュレーションRPG!
その名も、「
もうそのまんま!!
略称もナムカプ!
歴代のナムコとカプコンゲームキャラクターが一堂に会する夢の企画。
ゲーム同士のコラボということもあって、ゲーマーとしては期待するしかありません。
が、開発側がこれを成り立たせるには、大前提として参戦作品について物凄く深い知識を持っていないといけません。
今作のプロデューサーを務めた森住惣一郎氏は、スパロボのシナリオやプロデュースを手掛けたことがあり、かつて不可能と言われた「機動戦艦ナデシコ」のスパロボ参戦を実現させた実績の持ち主。
一応ロボットアニメとはいえ、戦艦の方が主役な上に女の子いっぱいで、特に男臭い雰囲気の強いスパロボに馴染まないだろうと言われた作品を馴染ませた手腕。
また、彼がかつて生み出したキャラクターである「キョウスケ・ナンブ」や「エクセレン・ブロウニング」は、スパロボOGで欠かせないキャラクターにまでなっています。
ナムカプでもその手腕は遺憾なく発揮され、まったく違う作品同士なのに和気あいあいと掛け合いをするキャラクター達は見事に1つの作品の中に納まり、原作でほとんど台詞がないキャラクター達にも新たな性格付けが為された。
各作品のファンも納得の小ネタやパロディが山ほど盛り込まれて、これでもかってくらいの長丁場にも耐えられるだけのネタの宝庫。
特に本作はレトロゲームが多数参戦していることもあって、物凄いディープなネタが盛り込まれています。
敏腕プロデューサーである前に、一人のゲーマーとしての森住氏の知識量には本当に驚かされます。
今作以降、クロスオーバーと言えば森住氏という評価までついたでしょう。
その後、約10年に渡りモノリスソフトでは様々なクロスオーバー作品の開発を請け負っており、その多くでは今作の主人公「有栖 零児」と「小牟」が出演。
零児と小牟が繰り広げた、壮大なクロスオーバーシリーズ、その原点となったのが本作です。
◆『怒涛のネタで畳みかけるシナリオ』
クロスオーバー作品としての作りは、やはりスパロボに近い考え方で作られているのでしょうか。
原作再現や小ネタの仕込み、予想外のキャラ同士の掛け合い。
何よりも原作のファンが喜ぶであろうことを徹底してゲームを構成しています。
その結果、一番ネタを再現しやすいという形を取るために、スパロボと同じくシミュレーションRPGというジャンルを取ったのだと思います。
とにかくたくさんのキャラを一度に出すには、キャラをユニットに見立てる戦術ゲームが一番馴染みがいいし、キャラ同士の絡みというものを挿入しやすいですから。
加えて、原作がアクションゲームの作品も多いので、戦闘シーンで簡易的なアクションコマンドの入力が求められます。
格ゲーのコンボを簡易的に再現したものでしょうね。
この辺は、先にゲーム性を優先するスマブラとは異なる点。
参戦基準や登場するアイテム、ネタの選び方も、とにかくファンが見たら小躍りするような細かーいネタがたくさんです。
正直、にわかゲーマーな私ではネットの力を借りなければ元ネタを把握できないっすわ。
こうした、ネットがあるという時代背景も追い風になったのでしょうね。
知らない作品についても簡単に調べられるようになったし、懐かしいゲームの動画というのも容易に探せるようになった。
本作の参戦作品は80年~90年代のレトロゲームが大半を占めているのですが、こうしたオールドゲーマーが懐かしむようなネタを仕込みつつ、2000年代時のユーザーにも受け入れてもらえるようなキャラのアレンジが加えられています。
ほとんどのキャラが原作クリア後の、歴戦の戦士という肩書で登場しているのが本作の大きな特徴。
復活した悪役達に対抗するべく再び立ち上がった戦士達。
一方で攻略するステージは、かつて各作品のプレイヤーを苦しめたステージたちが見事にシミュレーションRPGの舞台となって帰ってきます。
ドルアーガの塔の宝箱、増援増援のバラデューク、だじゃれの国。
遊んだユーザーの脳裏に蘇る(地獄の)出来事が、シナリオとマップで蘇ります。
本作ではマップの合間にとにかくキャラ同士の掛け合いが豊富に挟まれます。
まぁ、その分増援が多いゲームでもあるんですけれど。
キャラの台詞の中にも様々な小ネタが仕込まれており、原作を知るとより感慨深い物になっています。
上手いもんで、今作で新たなキャラ付けがされたり今作だけのクロスネタも織り交ぜているので、原作未見の人も原作把握済みの人も驚く会話が展開されます。
わーい、コブモスですー。
ちなみに、元々はナムコだけのクロスオーバー作品として企画されたものらしく、特にナムコキャラには相当無茶なキャラ改変も許されてたっぽいです。
ホリ・タイゾウがあんなにカッコよくなるなんて。
ディグダグがそんな重厚な設定になるなんて……!
とにかく会話シーンの重厚度が凄まじく、シミュレーション部分がオマケとまで言われるほど。
普通にシナリオ読んだりしていると、気付けば時間が物凄く過ぎている。
シミュレーション部分がそこそこ時間が掛かる仕様のため、普通に遊んでいるとプレイ時間が1週で100時間は余裕で超えます。
けど、その会話劇が楽しすぎて先に進めてしまう。
あぁ、やはりゲームというものの魔力は恐ろしい。
◆『シミュレーションとしては…』
とはいえ、シミュレーションRPGとして見ると、やはりきっついものがあるというか。
戦闘シーンは簡易コマンドでコンボを繰り出す仕様ですが、積極的に狙わないとすぐ落としてしまうし。
ただでさえ敵が多いのに、防御コマンドで敵の攻撃を防がねばならないので冗長になりがちです。
後半はマップの広さと敵の多さから、肝心の戦闘が億劫になりがちです
その結果、大体の人は邪神と英雄と忍者で無双してもらうことになりがちなのですが。
あーるぶれーど。
でぇぇりゃあああ!!!
スモークボムッ!ホアアアアアッ!!
まぁ、好きなキャラを徹底して育てていけば楽勝というノリは、スパロボにも通じるところがあるかもしれません。
攻略法が分かれば割とあっさり行けちゃうあたりもレトロゲーっぽくもあるし。
キャラクター達の夢の共演という点を優先しており、戦闘前後の掛け合いセリフも膨大にあります。
案外、知らない台詞もたくさん仕込まれてるかもしれません。
この辺の戦闘システムについては、後に同じく森住氏が手掛ける「ムゲフロ」や「PXZ」にてどんどん改善されていくことになります。
そういう意味でも、ゲームの歴史を感じる1作といえるかもしれません。
ナムカプから始まった零児と小牟の冒険は10年の時を経て「PXZ2」で一区切りつきました。
森住氏も今はモノリスソフトから離れているので、こうした大規模クロスオーバー作品は当分出来ないのかもしれません。
夢のクロスオーバーゲームというのは、ユーザーが求めれば求めるほど開発難易度が高くなるもの。
これを成し遂げる深い愛と情熱を持ったクリエイターは、果たして現れるのでしょうか……
◆シリーズリンク
事実上の続編、ムゲフロはこちら:
https://kakuyomu.jp/my/works/1177354054902555010/episodes/1177354054911644355
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