038:ストリートファイターⅡ
【タイトル】
ストリートファイターⅡ
【ハード】
アーケード/スーパーファミコン
【販売/開発】
カプコン
【発売日】
1991年3月/1992年6月10日
◆『格闘ゲームという存在を確立したもの』
格闘ゲームというと、昔は格闘技を使ったキャラクターがステージを攻略する横スクロールアクションのことを指していました。
しかし本作の登場によって、今では格ゲーといえばキャラクターが向かい合って戦う対戦アクションのことを指すようになりました。
ゲーム史上でも類を見ない、『ジャンルの意味』を塗り替えた名作。
もはや語るまでもないと言ってもいいぐらい、今の格闘ゲームの原点。
リュウや春麗と言ったキャラクターは今でも格闘ゲームを代表するキャラクターですし、波動拳・昇竜拳といった技はそれだけでコマンドが分かるくらい世間に浸透している。
それほどまでに、世界に与えた影響はとてつもなく大きかった。
今では格ゲーをやり込んでお金を稼ぐプロゲーマーなんて、当たり前のように存在しているでしょう。
まさに、「The World Worrior」を数多に生み出した、とんでもないゲームです。
…まぁ、私はゲーセンに行ってなかった人なので、この初代格ゲーブームの熱を知らない人なのですが。
お友達の家に遊びに行って、スーファミ版で対戦したくらいですかね。
シリーズ作品はたまに遊んできてますが、未だに昇竜拳が安定して出せません。
→↓↘なんてどう出すのって、ずっと疑問でした。
これ、レバーをZ字に入力しろってことだったんですね。
基本十字キーで遊んでいたから、長い間この発想に至れなかった。
それくらいの格ゲー音痴です、私。
とはいえ、ゲーム史上でも10本の指に入るくらい影響力がデカかったタイトルなのは間違いない。
改めて調べてみると面白いものです。
◆『2番手の法則』
初代ストリートファイターがコアなファンを獲得して続編を望まれたものの、最初に作った続編は「こんなのストリートファイターじゃない!」と猛反発を受けた結果、「ファイナルファイト」として世に出たのも有名な話。
そして、それに反発するように半ばヤケクソ気味に対戦特化なゲームとして生まれたのが、本作「ストリートファイターⅡ」でした。
ある意味、開発者の熱意の結果?
実は、このゲームの制作者の一人にお会いしたことがあり、そこで聞いたことがあります。
この世には『2番手の法則』というものがあると。
『史上初』というものに人が惹かれるのは当たり前だが、似たようなものなら2番目までならまだ人に受け入れてもらえるという。
その時に、「1番目」と全く違う魅力を持たせられるかが鍵だと。
実は1対1のキャラが向かいあって戦うゲームというのは、既にこの世に存在していました。
任天堂の「アーバンチャンピオン」です。
ストリートファイトでパンチで殴り合い、相手の体力を削り切ったら勝ち。
2人対戦も出来るし、アーケードも出ている。
なるほど、言われてみれば確かに。
一方で、初代「ストリートファイター」が生み出したものがあります。
ご存じ、波動拳や昇竜拳といった『コマンド技』です。
この頃の波動拳が異常な威力なのは知られてますが、これは元々がステージクリアタイプのゲームであるというゲーム性と、複雑なコマンド入力を要する初めてのゲームということもあって、コマンドに見合う威力を出そうという考えから来ているのだと思われます。
この操作系が、後のストⅡに、そしてそれ以降の格ゲー全般に影響を与えることになりました。
さらに対戦に特化することで、『ストⅡ』はまた新たな特徴を備えることになりました。
1つはプレイアブルキャラの多さ。
初代ではリュウとケンの2人だけでしたし、アーケードゲームでキャラが選べるということ自体、この頃は稀なものでした。
性能の違う8人のキャラから一人を選び、それ以外のキャラが敵として出てくる。
格闘大会に参加しているというストーリーにも合致していますし、今では当たり前の格ゲーフォーマットですが、これは当時基準でいえば物凄く珍しい形態でした。
敵は悪役というのが基本でしたからね。
そして、もう1つの大きな特徴が「乱入」の仕組み。
1人のプレイヤーがCPUと戦っているところに、2人目のプレイヤーが入るとそのプレイヤーが対戦相手となって出てくるもの。
2人で対戦出来るゲームはそれまでにもありましたが、特に大きいのが「負けた方がゲームを降り、勝った方はゲームを続行できる」という仕組みです。
これが当時のアーケードゲーマーに火をつけたようです。
たった100円、されど100円。
このゲームをやり続けるには、強くならないと!勝ち続けないと!
だって、負けたらゲームオーバーだもん!
本当の格闘大会のように、敗者はただ去るべしってなるもん!
1戦1戦が超真剣になりますから、熱中度は他のゲームとは比較になりません。
溜めとかレバー1回転とか、さらに複雑なコマンドが出ようとも、なんなくこなせるほどにのめり込む。
負けた悔しさも、勝った喜びも、他のゲームとは一線を画していた。
アーケードゲームというのは元々、インカム回収のために比較的難し目に設定されているものです。
ゲームオーバーになったプレイヤーが交代することで、あるいはコンテニューで続行することでお金を入れてもらえるように、そう設定せざるを得ないのです。
「ドルアーガの塔」しかり、「魔界村」しかり、「ファイナルファイト」しかり。
その分、アーケードのゲームに熱中する人達というのは負けず嫌いですから。
攻略のために研究することに余念がない人ばかりです。
そんな世の負けず嫌いな人たちは、本気でストⅡにハマりだしたのでした。
なんせ攻略対象は、同じゲーセンで遊んでいる人なんですから。
「アイツに勝つ」を目標に頑張る人が続出することになるのでした。
地元で傑出した人は更なる強敵を求めて遠征、本当に「俺より強い奴に会いに行く」を実践する猛者も現れるほど。
それほどまでに、この乱入の仕組みはプレイヤーを熱狂させる仕組みでした。
ついでにこれはゲーセン側も開発側も嬉しい仕様でした。
ゲームも商売、お金を儲けないといけないですから。
1人のプレイヤーが1コインでゲームをやり続けると、儲けなんて出ません。
しかし、この乱入の仕組み。
負けた方は降りる以上、コンテニューするには更にお金が必要です。
アイツに勝ちたい!アイツにリベンジだ!
そのためにはまず100円を入れなくてはならない!
これも何気に史上初の仕組み。
プレイヤーが熱中すればするほど、お金が入る仕組みになっていたのでした。
それでも、対戦の熱さに何度もお金を払う価値があると、知らず知らずのうちに感じていたプレイヤーが多数。
だからこそ、いくつものバージョンアップを繰り返したわけですしね。
改めて調べてみると物凄い数のバージョンがあります。
最近(っていっても3年くらい前だけど)、ウルトラストリートファイターⅡというまさかの新バージョンも出たくらいですしね。
◆『いとしさと 切なさと 心強さと』
キャラクターのプロフィールが割としっかりと作ってあって、攻略本とか見ると技の性能よりもプロフィールやストーリーを見てしまいます。
非格ゲーマーなんてそんなもんです。
ストリートファイターシリーズは格ゲーマー以外にも広く認知されていますが、それはやはりメインの格ゲーマー以外にも知ってもらうためのメディアミックスを積極的に行ってきたから。
漫画やアニメ、他の作品とのコラボ。
リュウはいつでもどこにでも、強い奴を求めてやってきます。
その際、大元であるカプコンがきちんと監修しているだけあって、大抵の作品ではキャラがぶれないというのがストリートファイターシリーズの特徴。
そんな現在のストリートファイターの世界観を決定づけたものに、映画版が欠かせないと思います。
『ストリートファイターII MOVIE』、なんとカプコンの自社製作!
ゲームではキャラクターのバックボーンは断片的にしか出ず、攻略本などに詳細なプロフィールが乗っていたわけですが、その辺りを踏襲しつつ「スーパーストリートファイターⅡ」までのキャラクター16人が全員出るストーリーを仕上げた映画。
リュウのハチマキがケンからもらったものであることや、春麗とガイルがコンビでシャドルーについて捜査するなど、本作で生まれた設定や人間関係が、後のゲームにも逆輸入されているほど。
ゲームのアニメ化、そして映画化。
過去にも「スーパーマリオ」などが実践していますが、きちんとゲーム世界を踏襲してるというのが観客に刺さったのでしょう。
ダブル波動拳は胸アツ!
…という具合に、格ゲーマーでもない私もそれなりに知っているくらいには知名度抜群のストⅡ。
果たしてリュウは、次はどこへ行くのだろうか。
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