024:剣と魔法と学園モノ。
【タイトル】
剣と魔法と学園モノ。
【ハード】
プレイステーションポータブル
【販売/開発】
アクワイア/ゼロディブ
【発売日】
2008年6月26日
◆『パケ買いの思い出』
皆さん、パッケージ買いってしたことあります?
店頭でパッケージだけを見て、興味がわいてそのまま買ってみたという経験。
私はたまに古本屋とか中古ショップとかを巡ったりするのが好きで、そこで興味を引いたものを買ったりすることがあります。
漫画でもゲームでも。
大抵は既に話題になっているものがほとんどなのですが、私が珍しく前情報を一切知らずにパケ買いしたゲームが1つ。
それが今回の「剣と魔法と学園モノ。」です。
句点まで込みでタイトルです。
「剣と魔法と学園モノ。」は、いわゆるウィザードリィタイプの3DダンジョンRPG。
自分でキャラクターを色々作ってパーティを作り、ダンジョンを進んでいくRPGです。
通称「ととモノ」。
一時期、「世界樹の迷宮」にハマった影響で、こうしたキャラメイク系RPGを色々買い漁っていたことがあるんです。
「セブンスドラゴン」とか「エルミナージュ」とか。
そんな中、秋葉のとある中古ショップ店のPSPコーナーで見掛けたのがこのタイトルでした。
ファンタジーで、学園モノで、絵柄が可愛らしく好み、それでいてキャラメイクが出来るRPG。
おっと、私の琴線に触れる要素が目白押しではないか!
キャラ100人作れますという謳い文句も書かれているのではないか。
初代「世界樹」が最大16人だから、それよりかなり大人数作れるじゃないか。
キャラいっぱい作っていっぱい妄想できるぞー!
なんて感じで、割と軽く考えてたんですね。
まぁ買ったわけですわ、中古で安かったし。
なぜ、"中古ショップで安く売られていたのか"という点も考慮せず、ね。
「剣と魔法と学園モノ。」シリーズは、冒険者学校に入学した主人公達が、一人前の冒険者を目指してダンジョンに潜り、依頼をこなしたりしていきます。
一貫して学園モノという点が強調されており、キャラ作成が「入学」、職業が「学科」、依頼が「課題」といった表現をされています。
キャラメイクは全10タイプの種族から選択可能。
・オーソドックスな人間
・金髪長耳のエルフ
・モフモフ獣人ドワーフ
・精霊憑依のロボ子ノーム
・ホビットじゃない、小人のクラッズ
・サイズ最小、妖精フェアリー
・猫耳は正義、フェルパー
・竜の尻尾と羽があるドラグーン
・悪魔の角を生やしたディアボロス
・絶対正義の天使セレスティア
10タイプの種族と、全15種の学科の組み合わせが自由なので、かなり自由に作れます…まぁ、頑張れば。
ウィザードリィと同様、キャラクターのステータスによってなれる職業が決まります。
キャラメイク時のボーナスや、レベルアップ時でステータスが上がるので、頑張ってなりたい職業を目指しましょう。
パーティは最大6人でダンジョンに挑みます。
この際、パーティ内にいる種族同士によって相性が発生し、ステータスが増減します。
エルフとドワーフは仲が悪いとか、人間とフェアリーは仲がいいとかね。
なお、合体技を使うとパーティ内が仲良くなり、相性の不利が改善されるという地味な仕組みがあったりします。
上記を見ての通り、本作はかなりウィザードリィに影響を受けているタイトル。
なんとロストありです。
キャラが死んだとき、蘇生させても運が悪いと失敗して灰になり、さらに失敗するとロストとなりゲームから永久離脱です。
本家ウィザードリィほど失敗率は高くないとは思いますが、それでも蘇生はなかなか緊張します。
あれだけキャラメイク系RPGやってたのに、私はウィザードリィシリーズはやったことなかったんですね。
動画見たりしてタイトルとかセオリーみたいなのは知ってましたが、それでも実際にプレイするとなると大変です。
キャラメイクはボーナスが高いキャラが出るまで粘る、とかね。
とにかく、初見の人は学園ウィザードリィと思っておけばいい。
いい意味でも、悪い意味でも。
◆『恐るべき事態の連続』
さて、ぶっちゃけた話、私は本作を最後までクリアしていません。
途中で飽きちゃったというか。
序盤の理不尽さと中盤の中だるみがきつくてな……
本作は最初にチュートリアル課題を受けることになりますが、全然チュートリアルになっていません。
ほとんど話を聞くだけの上に、いきなりウィザードリィ系の専門用語やスラングを連発するので、何も知らない人には訳分かんないと思います。
そして、ダンジョンに潜った際は、いくつかのパターンの中からランダムでマップが選ばれます。
これによって、いきなり高難易度のマップを引き当ててしまったり、行きたいマップに行けずに地図を埋めることが出来なかったり、といったことが起こる。
とにかくゲームバランスやユーザビリティが劣悪です。
初ダンジョンで開始から数歩歩いて、電気床で全滅したのは絶対に忘れない…!
理不尽こそWizって人でもない限り、これはアカンってなるレベルですよ。
ダンジョン内にはBGMが無いので、緊張感があるというより単純に寂しい。
BGM無しって、思った以上にプレイヤーのプレイ意欲を削るんだって身を以て知りましたよ。
そして物語中盤からは美少女アンドロイド軍団との戦いが起こるわけですが、毎回1人ずつしか出てこず似たようなパターンが続くので、飽きるんですよねぇ……
何人目かで、やめてしまいました、私。
誤植も多いことで知られてますねぇ。
ゲーム中の台詞に明らかにおかしな台詞があるし、説明書にはクラッズではなくホビットの表記があったりするし。
おまけの落書きとか説明書に載せてる場合ちゃうぞ!
ただ、こういう事態が起こりまくっていたのも、あることを知れば納得です。
本作は「ウィザードリィエクス2」というゲームの盗作なんですから!
えぇ、影響を受けているどころか、ウィザードリィの外伝作品そのまんまです。
ソースコード流用とか普通にしてるらしいですよ。
私はエクス2の方はプレイ動画を見た程度ですが、登場キャラとかマップ構成とかはほぼそのままです。
ここまで似せてるというか、そのまま流用してるとなるともはや笑えてきます。
テキストやキャラクターのガワを変えただけで、中身がほぼそのまんま。
しかも、大元が続編である「エクス2」だったせいか、単純にテキストを変えた程度では初心者への配慮になりはしなかった。
クエストも大半が流用で、変にちょびっとだけ弄ろうとしてるせいでバランスが更におかしくなっている。
テキストは変えて違うゲーム感を出そうとしてるのだが、開発期間を短く取ろうとしたのか誤植連発。
流用してるのに劣化してるという状態、みたいです。
「ウィザードリィエクス2」を作ったマイケルソフトは、本作の発売前に倒産しています。
どうもその時のスタッフが持ち出したものが使われたのが本作、みたいですね。
色々と曰くありそうな噂が飛び交っております。
ただまぁ、元の「ウィザードリィエクス2」の知名度がそもそも低かったせいか、あんまり話題にはなりませんでしたけど。
◆『徐々に募る妄想力』
ゲーム業界も色々ありますから。
何かに似せたり、コード流用とかは今でも普通にあり得ます。
近年だとソーシャルゲームの現場で、何かヒット作のシステムを流用してキャラだけ変えるガワ替えというのが起こり得ます。
「艦これ」と「刀剣乱舞」が有名ですかね。
ただ、こっちは配信元が同じですし、そもそも男女というターゲッティングの違いや展開のさせ方が違いますしね。
ユーザーには気付かれないように、あるいは気付かれても文句を言われないようにうまく配慮されています。
現代ではガワ替えも、業界を生き残るための技の一つになりつつあるんですよね、悲しいことに。
さて、この「剣と魔法と学園モノ。」というタイトル。
なんとシリーズ化され、結構な本数が出ています!
盗作タイトルからまさかの出世!
その原因は、まさにこのガワ替えの力。
ウィザードリィエクスとは打って変わって、ライトノベル感が出てる可愛らしいキャラクター。
これと幅広い種族・職業から出来るキャラメイクが合わさり、それによるユーザーの妄想力が爆発したのです。
色々と想像を掻き立てたファンが付き、密かに続編の希望を高めていったのでした。
続編からは流用もなくなり、独自の魅力を持ったシリーズになりました。
特に「3」は、キャラメイクに関してはかなり自由かつぶっ飛んだ職業やシステムを取り入れ、プレイヤーの妄想を促すものになっていました。
まぁ、ゲームバランスとかは相変わらず香ばしいところがあったりするのですが…
このシリーズで一番楽しいのは、「妄想する時間」だというのはファンの共通見解だと思います。
いわば、ファンの妄想の力だけで支えられたという稀有なシリーズになったのです。
なんだかんだいって、私もこのタイトルには色々な影響を受けましたよ。
私自身が、いろんなことを妄想するのが好きなんだと自覚させてくれた。
そして、本作の不親切なバランスや中盤の中だるみから、「RPGはこう作るとつまらなくなる」ということを学んだタイトルでもあります。
あの日パケ買いしたことは、結果的には私の中ではプラスになりました。
物は言いよう、人生は考え方次第。うむ。
結局私もこのシリーズを色々とプレイしてしまっているんだよなぁ……
最初のキャラメイクで色々と妄想するのが楽しくて。
そして、ダンジョンを進めていくうちにその熱意が冷めていって、ちゃんとクリアできたことは少ないんだけど。
ちなみに本作は10周年記念を機に、ダウンロード専用でSwitchへ移植されています。
アニバーサリーとして特別なイラストが見れたりするようですが、ゲーム内容は基本的にそのままらしいです。
正気かアクワイア!
可愛い外見に騙される理不尽っぷり、むしろ経験したいという人は挑戦してみてはいかがだろうか。
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