010:ニンテンドウオールスター! 大乱闘スマッシュブラザーズ
【タイトル】
ニンテンドウオールスター! 大乱闘スマッシュブラザーズ
【ハード】
ニンテンドウ64
【販売/開発】
任天堂/HAL研究所
【発売日】
1999年1月21日
◆『元祖スマブラ!』
気付けばこのレビューも10回目!早い!
何か特別なタイトルをやりたいと思ったら、やっぱりすぐ浮かぶのはスマブラでした。
スマブラといえば、今や全世界が常に注目するスーパーコラボ作品ですよ。
現在、Switchの最新作「大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL」を絶賛プレイ中ですよ。
これ書いてるときは、DLCの追加キャラが6人ほど配信された後くらいです。
ゲーム業界にちょっとでも足を突っ込んだ人間ならば、このスマブラSPというタイトルの規模感のデタラメさに恐れおののきます。
デカすぎる!ヤバすぎる!
桜井氏でなければまとめられないという嘆きも聞こえてくるのも納得です。
このウルトラビッグタイトルの原点。
どんなだったか、皆さん覚えてますでしょうか?
元祖スマブラはニンテンドウ64で発売。
マリオにピカチュウ、リンクにカービィといった、任天堂タイトルの有名キャラクターたちが一堂に会するという対戦アクション。
もうそれだけでワクワクしたものですよ。
そんな作品、それまでなかったんですから!
私としても、サムスやファルコンやネスをこの初代スマブラで知った人間なので。
ゲーマーとしての幅を広げてくれたという点でも、このゲームには多大な感謝をしたいところです。
ジャンルとしては対戦アクションですが、一般的な格闘ゲームとは随分異なるゲームでした。
攻撃を加えると蓄積ダメージが溜まっていき、吹っ飛びやすくなる。
ダメージが溜まったら強力なスマッシュ攻撃で、場外まで吹っ飛ばせ!
あぁ、シンプル。あぁシンプル。
遊び方はこんなに分かりやすいのに、いつまでも遊んでられるゲーム性。
一体全体、どうしてここまでハマってしまったんでしょうか。
◆『濃い口すぎるスマブラ拳!』
スマブラシリーズの開発エピソードは、桜井さんをはじめとするスタッフコメントの数々がいろんなところで見られます。
ゲーム雑誌はもちろん、桜井氏のコラムをまとめた本だったり、ゲーム情報サイトのインタビューだったり。
が、初代の内容が一番濃い情報源はどこかと言われたら公式サイトでしょう。
初代、スマブラ拳!!
今でも見る事が出来ますよ、えぇ濃い口すぎる内容ですよ。
これでもかというような内容を「直接!」お届けされておりますよ。
そもそもどうしてここまで濃い公式サイトがあるのか。
それは、今では信じられないことですが、最初は「面白さが理解されないタイトルだったから」だそうで。
当時小学生だった私としてはワクワクしっぱなしだったわけですが、初報の宣伝というのはかなり小規模なものでした。
私が直接見たものでも、コロコロに見開きで2ページあったものくらいでしょうか。
今思うと随分と少ないです。
それでも「有名ゲームのキャラが総出演!凄い!」となってたわけですが、これについては懐疑的な見方をしてた人もいたみたいで。
マンガなりアニメなりのキャラ人気にあやかって作られた、いわゆるキャラゲーというのはバランスが大味になりがちというのはゲーマーの共通見解。
スマブラはゲームキャラですけど、そういうキャラゲーのジンクスというのがついて回ってたようなんですよ、スマブラでも。
これは任天堂内でもそうだったようで、「マリオとピカチュウが殴りあうなどありえない!」とか言い出す人もいたとか。
とはいえ、スマブラは元々「竜王」という名前で、まったくの新作として企画されたゲームだったというのも有名な話。
蓄積ダメージなどの主なルールやシステムはこの時点で既に固まってました。
しかし、家庭用の対戦アクションゲームを売り出すには、魅力的なキャラが必要。
ならばいっそ任天堂オールスターにしてみてはというアイディアが生まれていったのです。
いわば、キャラゲーであることは後付だったんですね。
元々、キャラ人気に乗っかるようなゲームではなかったと。
とはいえ、キャラを借りるからにはきちんと原作リスペクトをした上でゲームに落とし込んでいったわけで。
実際にマリオとかが戦っているものを見せてようやくGOサインが出たとか。
このあたりのエピソードはいろんなところで語られてるので、ご存知の方も多いかと。
まぁ、そんな開発事情なんぞ興味ないプレイヤーの方が大半なので。
「任天堂オールスター、夢の競演!!でもホントに面白いの?」というのが初報の感触だったようです。
どうにかして、ただのキャラゲーじゃないんだぞ、ただの格闘ゲームでもないんだぞというのを伝える必要がありました。
肝心の任天堂が宣伝に消極的でしたからね。
上記の通りキャラゲー感がある上、時オカの延期伝説もあって、必要以上に期待を煽ることを避ける傾向がありましたし。
今では考えられないくらい、このタイトルの発売前の評価は芳しいものではなかったようです。
で、「ならば自分達でサイト作って紹介しちゃおう」という発想に至る、この熱意よ。
当時はようやくインターネットが家庭に普及し始めた時代。
ここに活路を見出した桜井さんや岩田社長らは、大胆にも、公式の紹介+攻略サイト「スマブラ拳!!」を始動することに。
単純なゲームの紹介だけでなく、そこらの攻略本よりも濃い情報が満載になったサイトを自分達で作り始めたのでした。
えぇ、ゲームの開発内のパラメータの紹介までするサイトなんて、他になかったですよ。
このレビュー書く前にちょっと確認がてら覗いてみたら、内容が重厚すぎて半日潰れました。
こうした、開発側からの紹介やアプローチをここまで積極的に行ったのはスマブラが初めてでしょう。
雑誌やテレビなどのメディアの紹介では、魅力が十分に伝わらない可能性がある。
ならば、ゲーム開発も自分達で情報を発信していく時代へ。
スマブラはその先駆けとも言えました。
また、こうした濃い情報や裏話も立派なコンテンツになると気付いたのでしょう。
後に岩田社長が任天堂の社長になった後、「ニンテンドウダイレクト」による直接の宣伝や、「社長が聞く」など開発陣のエピソードを紹介する流れに繋がったのではないかと思います。
◆『アイテムによるアドリブ性』
ところで、スマブラを遊んだことがある方は思い出して欲しい。
スマブラを初めて起動した時、デフォルトのルールになってるものは何ですか?
「タイム制2分、アイテムあり」
これですよね。(最新作のSPECIALは2分半になりましたが)
このデフォルトルールというのが、ある意味開発陣の一番のメッセージなのではないかと思うことがあります。
というのも私、対戦系ゲームの「デフォルト設定」って、開発側が考える「そのゲームを最も面白く遊べる」設定だと思うんですよね。
「とりあえずこれで遊んでみろ、そうすればハマるから!」
そんなメッセージすら感じませんか?
えぇ、スマブラのデフォルト設定はタイム制です。
時間いっぱいまで敵をたくさん撃墜できた人の勝ち。
アイテムもアリアリです。運要素も横取りもアリアリです。
まさに大乱闘にふさわしいルール。
スマブラをやりこんでる人からすると「ストック制3機、終点アイテムなし」じゃないのって思うかもしれません。
だが、それほどスマブラ好きなら思い出して欲しい。
初代スマブラは、終点で遊ぶことなんて出来ない事を。
ましてや、戦場も遊ぶ事が出来なかったことを。
何より、アイテムスイッチが隠し要素になってて、最初はアイテムなしにすることが出来なかったことを!
えぇ、初代スマブラというのはアイテムありが前提になってるゲームなんですよ。
いや、きっと最新作でもそうなんでしょう。きっと。
なんでこんなルールになっていたのか。
スマブラ拳に大事なことが書かれておりましたね。
スマブラとは「アドリブ性」のあるゲームであると!
そもそもスマブラは、世間の格闘ゲームに対するアンチテーゼという側面もあったというのは有名な話。
格闘ゲームというのは、単純にプレイヤーの操作技術を試すものではありません。
どんな技を打ち込めば相手にうまくダメージを与えられるかという知恵比べの要素の方が大きいんです。
格ゲーをめちゃめちゃやり込んでいる人って、むちゃくちゃ研究するんですよ。
このキャラのこの技は、あのキャラのあの技に確実に反撃が取れるとか、膨大な知識を溜め込むんです。
格ゲーの上級者って「理想的な戦い方」を突き詰めていっちゃうんですね。
お互いがどういう戦い方をするのかが分かって、その上でどんな技を繰り出すか駆け引きをする。
しかしこれは、いきすぎると「みんなおんなじ戦い方をしてしまう」ということに繋がりかねません。
そうなったらもう、面白くなくなっちゃうんですよ。
そこで生きてくるのがアイテムなのですよ。
そこら辺にポーンとモンスターボールが出てきたら、みんな取りに行くよね。
けど、あえてそれを拾いに行く相手を狙ったりとか、そういう駆け引きが生まれるわけです。
トサキントが出るのを祈るとか、マルマインだったら利用してやるとか。
アイテム一個、ギミック1個、あるいは対戦相手が一人増えるだけで、何倍もの選択肢が増える。
駆け引きの幅が広がるんですよ、膨大に。
タイム制になっているのも、横取りなどの駆け引きが増えるからというのがあると思います。
最後のタイムアップの瞬間まで撃墜を狙う、トップならばやられないように逃げ回る、といった感じで。
残り時間もかんがみて、どう立ち回るかアドリブを利かせていく。
そうした駆け引きが最後まで楽しめるようにするため、なんでしょうね。
ゲーム初心者でも楽しめるようにという配慮もあると思いますが。
ストックが無くなってただ見てるだけになるって、やっぱりつまらないですし。
さらに細かく言うのであれば、スマブラ特有の蓄積ダメージというシステム。
喰らったダメージによって吹っ飛ばされ方が違うという仕組み。
100%くらいになったらピンチというのは見てすぐ分かるし、見事スマッシュを当てて景気良く吹っ飛ばしていくのは爽快です。
この仕組みも、アドリブ性を高めるのに一役買ってます。
連続攻撃したものの、ダメージ量が1%でも違ったらコンボが繋がらなくなるというのはよくある話。
これはつまり、ダメージによって戦い方を変えなくてはならないということ。
ダメージ量なんて常に変化しますから、戦いの中でいろんな立ち回りを発揮していかねばならないわけです。
1%のダメージさえも計算に入れる人なんて、それこそ超凄腕のやり込み人でないと無理ですよ。
どこまでも突き詰めて戦う格ゲーとは違う、常に変化するフィールドでアドリブ力を発揮し、臨機応変に立ち回る。
これが前提になっているからこそ、突き詰める事が出来ない。
毎回おんなじ試合展開になるなどありえない。
だから、いつまでも経っても飽きが来ない。
スマブラは最初から、そんな作りになっていたのです。
真のスマブラ強者とは、「アドリブ力」が高い人を指すのかもしれません。
スマブラシリーズはe-スポーツの大会もよく開かれていますが、任天堂公式の大会っていつも「アイテムあり」だっていう印象ありません?
このあたりも、開発側が考えている「スマブラを一番面白くする方法」の提示なのかもしれません。
いや、単純にアイテムありのほうが盛り上がりそうだなっていうくらいの感じかもしれませんが。
終点ストック3で遊んでばかりの人!
たまにはタイム制やアイテムありで楽しんではどうでしょう。
本当の意味でスマブラに強くなれるかもしれません。
……別に、ストック3のガチルールでは全然勝てないんで僻んでるわけではないです。
決して。えぇ決して。
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