003:フィロソマ

【タイトル】

フィロソマ

【ハード】

プレイステーション

【販売/開発】

SCE/ジーアーティスツ

【発売日】

1995年7月28日



◆『バーナーON!MAXパワー!』


「突然のミッション…

それは、惑星220プラネットトゥートゥーオー調査&救助サーチアンドレスキュー

降下した私は、激戦で多くの部下を失いました……

しかし、それは恐るべき地獄の、ほんの前奏曲プレリュードに過ぎなかったのです……」


田中敦子さんの語りで始まるこのオープニングは、何度見ても鳥肌が立ちますねぇ。


というわけで今回は、プレイステーション初期のソフト「フィロソマ」を紹介!

名作というか迷作というか…


初代プレイステーションの時代といえば、CD-ROMソフトの黎明期。

カセットメディアとは比べ物にならない容量の増加に伴い、あれも出来るかも、これも出来るかもと開発陣が色々試行錯誤を繰り返していた時代です。

そのため、驚くほど美麗な映像演出があるものもあれば、どうしてこうなったと思うような奇妙なゲームが発売されたりもしていました。

まさに玉石混交といえる時代。

ある程度年齢のあるゲーマーならば、この頃のカオスっぷりが好きだったという人もいるのではないでしょうか。


このフィロソマは、プレイステーションの初期も初期。

販売元がソニー・コンピュータエンターテイメントであることからも分かる通り、プレステの性能を分かりやすく見せるという使命を帯びて開発されたタイトルでした。


「It's not a movie. It's a shooting game.」というコピーが付いていたり。

あるいは「シネマティックシューティング」というジャンル名だったり。

美麗なCG、大谷 幸氏の手掛ける音楽、豪華声優陣によるフルボイス、そしてダイナミックに変化するゲームステージ。

CD-ROMのパワーを使った、演出面に物凄く力を入れたタイトルでした。


世界に衝撃を与えたFF7がまだ影も形もなかった頃ですからね。

スーファミのドット絵メインの時代から突然このCGですから、当時としては物凄く凝ってました、凝ってましたよ。


えぇ、凝りすぎたゲームなんです。

好きなんだけどね……

ゲームとしては評価されなかった悲しいタイトルだったりします。


◆『高性能戦闘機ストレガ』


本作はストレガという戦闘機を駆り、惑星220の事件の真相に迫っていくシューティングゲーム。

すべてのステージの合間にCGムービーが挿入され、物語を盛り上げていきます。


このゲーム最大の特徴は、ステージごとにシューティングの視点が変わっていくこと。

初めは上空から自機を見下ろした、おなじみの縦シューティング。

かと思ったら次のステージでは、なんと地上から見上げるような視点になり、自機を背面から見てるような視点に変化。

もちろん、背景が空になり、敵機体も背面が見られるような造形に。

次のステージは自機を背後から追うような視点になり、いきなり奥行シューティングへ。

さらに次は、自機の前から映す視点へとなり、世にも珍しい手前行きシューティングに。

さらにさらに次は、自機を横から見た横スクロールのシューティングへ。

PHASE1だけでも、ぐりんぐりんと変化していきます。


他にも、やたらズームした状態から始まったり、マグマックスのような斜め見下ろしの視点まで。

1作のうちに縦・横・奥行・手前行き・斜め見下ろしと様々なジャンルのシューティングステージが凝縮されています。

ステージ中もフルボイスでキャラクター達が喋りまくるので、臨場感たっぷりです。


自機のストレガもなかなか高性能で、最初から4種類の武器が搭載されており自由に切り替えて戦えます。

連射性能の高い「バルカン」、押しっぱで移動すると伸びる「レーザー」、溜め撃ちで攻撃力最高「アサルトブレイカー」、背後に攻撃する「レイブラッド」の4つ。

他にも、アイテム取得で2種類のミサイルが増えたり、無敵&全体ダメージのボムがあったり。

シールドが2回分あるので、3回やられて初めて1ミスになるという、シューティングゲームとしては少しぬるめに見える設定になっています。




…ところがまぁ、ぬるめに見えるだけで。

このゲーム、自機の当たり判定がデカいのに敵の弾速がやたら早くて、難易度がかなり高いんですよ。

えぇ、シューティングゲームとしては理不尽なレベルと言えるくらいには。


ここがこのゲーム最大の問題点で、実際に遊ぶ側になるとゴリゴリとやられてくんですね。

やたら速い敵の弾、恐ろしいほど正確な追尾レーザー、爆風で見えづらくなるのに大量に飛んでくる敵機などなど。

理不尽に感じるくらいのものがかなり多いんですよね。

スコア表示はありますがハイスコアを狙うようなシステムも無いので、シューターの方々からは不満の方が大きかったようです。


まぁ、難易度が高いということは挑戦し甲斐があるということでもありますが。

ハードモードをノーダメージクリアしてるプレイ動画を見たことがありますが、あれは相当にやり込んだんでしょうね。


物語の方も終始シリアス。

映画「エイリアン」の影響を受けたと言われてますね。


資源豊富な惑星だと思っていたら実は…な展開。

初めはメカ的な敵が多いのに、だんだんと有機的な敵が増えていき……

ストレガに搭載されているAIが侵食され、物語後半には不気味な声でアナウンスが飛んできてプレイヤーのSAN値をゴリゴリ削っていきます。

冒頭の語りの通り、最後の最後まで絶望的な状況になっていきますので、終始重い雰囲気で展開していきます。

バッドエンド好きならたまらないかもですが。


ちなみに、イージー・ノーマル・ハードの3種類の難易度が選べますが、それぞれエンディングでのメッセージが異なり、高い難易度ほど物語の真相に近づくようになっています。

あと、途中でなぜか入る実写映像も、難易度によってクオリティの差が出ます。謎演出。


◆『設定込みで見れる遊べる映画』


演出に比重を置いた本作は、「遊べる映画」の走りとも言えるかもしれません。

ゲームとして遊ぶとイマイチに感じるかもですが、美麗な映像と迫力あるカメラワークのおかげで、見ている分には楽しい作品。

あぁ、私は遊ぶ方も結構楽しんでました。

ある程度ゲームの腕に自信があれば、十分クリアできると思います。


本作の説明書は、ストーリー紹介や敵の設定などの紹介が大半というもの。

まるで映画のパンフレットを見ているような気分です。

ゲームの説明書としてどうなのと思うことはありますが、ワクワクはしたものです。


ちなみに説明書のストーリーによると、主人公はあまりオートパイロットが好きではないという設定。

そのため、普段からオートにせずマニュアルで操縦してる=プレイヤーが操縦してるという設定らしい。

そのおかげで、物語後半の悲劇から免れるわけですが。

申し訳程度に、ゲームならではの設定を織り交ぜてますね。


世界観を網羅したガイド本なんかも出ていて、プロローグにあたる小説が載っているそうです。

残念ながら私は読んだことはないのですが、敵1体1体に詳細な設定があるらしく、設定資料好きにはたまらないらしいですよ。


かなり重厚な世界観を予定していたようです。

なんせ本作は、あくまで前奏曲プレリュードだったんですから。

ただ、本作があまり人気が出なかったせいか、結局この後の物語は不明瞭のままになってしまいました。


一応、物語の直接の続編として、「フェイズパラドックス」というゲームがあるのですが……………うん。





「頑張ったじゃん」

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