塔の外:自分の番を待っていた。
かすかな記憶がある。
おそらく石壁なぞに取り囲まれていなかった世界。どこか違う世界での記憶だ。
自分は椅子に座っていた。自分の番を待っていたのだ。
でも、何の?
塔とは何も関わりのないことはわかる。それはもっと日常的で、現実的で、シリアスなことだった――塔がそうではないというわけではないが。床は明るく、壁は真白く、緊張が空気を漂っていた。あの焦燥感を覚えている。
何かの面接を待っていた――会社の面接。
ひるむ。
塔が夢なら、自分は会場で寝ていることになる。そして自分の名前が呼ばれたときに熟睡していようものなら、内定などもらえるはずもない。その面接のために積み上げてきた努力が水の泡だ。
クソ。
目を覚ませないかと、まぶたを閉じてまた開けてみたり、腕と顔をつねってみたり、脳を集中させたりしてみた。すべては徒労に終わった。
逆に、自分が塔の中で夢を見ているのだろうか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます