第15話
子供の頃、鉄道が好きだった。
鉄道に乗って、全国を旅したいと思っていた。
でも、それは叶わない。
余程、時間とお金が無い限り、不可能に近い。
それに、最近は列車の世代交代も早く、国鉄も民営化された今、
全国で、多種多様の列車が走っている。
それに、ゲージや周波数も違うので、同じ路線で走らせる事は不可能。
しかし、模型の世界なら、それも可能。
古い列車や、新型列車。
廃車になった列車。
いろんな列車を、ひとつのレールで走らせられる。
それを、情景のあるジオラマで走らせてあげたい。
子供のころから、いつしかそれが夢になった。
しかし、これにもお金がかかる。
その上、場所や時間もかかる。
そして、技術。
僕にはそれがない。
なので、構想段階で終わってしまう。
一度、作りかけた事があったが、投げ出してしまった。
今度は、いつやり始められるのだろうか・・・
時間だけが過ぎて行く。
そう、平等に・・・
その時に、あの世界に紛れ込んでいた。
神は宇宙を、ジオラマを作る感覚なのかもしれない。
「トキオ、答えなさい。あのジオラマの世界を・・・」
僕は、答えた。
「未完成ですね」
「未完成?」
神が尋ねる。
「何事もそうですが、ジオラマに終わりはありません。絶えず進化を続けます。
途中で投げ出せば、何も出来ません。
リセットするなら、せめてそれまでの経験を生かさないと、同じ事の繰り返しです」
神は真剣は顔をしている。
「それは、生きている生物全ての課題です。僕は、生ある限りは、進みます」
神が尋ねた。
「それが、結論ですか?」
「はい。止まってしまえば意味はありません」
その瞬間。辺りが暗くなった。
そして・・・
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