第14話

「リセットです」


脳みそは当たり前のようにいう。


「それと、私は脳みそではなく、神です。あなた方の概念では」

「ですが、その姿だと・・・」


しぐれに腕を掴まれる。

この場は従っておこう。


「神よ、リセットと言いましたが・・」

「ええ。私はこの宇宙を、作り上げました・・・ですが・・・」

「ですが?」


神は続ける。


「私の理想とは、異なる結果になりました」

「異なる・・・ですか?」

「このままいけば、そう遠くないうちに滅びます。それなら自らの手で、崩壊させる事にしたのです」


神・・・身勝手な存在かもしれない。


「あなたがたは、上から見られている気がしていましたね?」

「ええ、それは感じていました」

「お気づきの通り、あれは私、そして、あなた方のクローンの視線です」


肝心な問題が、残る。


「では、何のために、あの世界を作ったのですか?そして、クローンは?」


神は、考えているようだ。

おそらくは、言葉を選んでいるのだろう・・・


「あのクローンは、あなた方の一部。つまり、もうひとりのあなた。

クローンの考えは、あなた方の考え。」

「考え?」


神は続ける。


「つまり、あなた方はクローンという、もう一人の存在から、町を住みやすい状態にしていたのです」

「それは、何のためにですか?」


完全に支離滅裂になっている。

僕の頭では、理解できない。


しぐれは・・・


理解している表情を浮かべている。


「あなた方がある結論を得た場合、元通りにして、もう少し様子を見るためです。

その為に、時間だけは、進めさせておきました。」


神に問う。


「僕たち以外にもいたようですが・・・」

「私も、コピー。同じやりとりをしています」

「コピー?」

「ええ。オリジナルはもう、存在しません。神はコピー、いえ、クローンですね。

それを作り上げていき、存在していきます。なので記憶も受け継がれます」


神がクローン?

オリジナルはいない?


そんな事よりも・・・


「神よ。その結論というのは?違っていたらどうする?」

「その時は、このままです。正しければ、元に戻します」


結論?


「では、トキオ・・・そしてしぐれ、答えなさい」

いきなり命令系になった。


「あのジオラマの世界は、どうだったかを」


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