第13話

僕、オリジナルの僕と、オリジナルのしぐれは、ある門の前にいた。


「この向こうに、神がいるんだね・・・トキオくん」

「みたいだね」


雲の上に、大きい門がいくつもある。。

他には何もない。


ここにいるのは、僕たちだけはない。


他にも、2人組が何組もいた。

おそらく、あの天動説みたいなジオラマから、来た連中だろう。


それぞれの、門の前にいた。

どうやら、神はひとりではないらしい。


≪神は、監督みたいなものだ。僕たちクローンはそれに使える役者か選手みたいなものだ≫

クローンのトキオの言葉が、頭をよぎる。


ここへも、列車で来た。

ホームらしきところには、並んでいる。

まるで、車庫のようだ。


「行こうか?トキオくん」

「ああ」


僕たちは覚悟を決めて中にはいる。


すると、そこには誰もいない。

何もない。


ただ、広い部屋が広がっている。


ただ、脳みその化け物のようなものが、そこにいた。


「これが、神ってことはないよね・・・しぐれ」

「わからない。でも、問いかけてみよう」


その脳みそに、近づく。

すると、脳みそが話しだした。


「ようこそ。私のかわいい子供だち」

脳みそが動機を打つように、話をする。


声は中性的。

男性とも女性とも、取れる。


「あなたは、神ですか?」

しぐれが声をかける。


「ええ。あなたたちの概念で言えば、神にあたります」

「なら、あのジオラマを作ったのは?」

「そう。私です。宇宙を滅ぼしたのも、私です」


当たり前のように答える。


「何のためにですか?そして、どうして私たちだけを、生かしたのですか?」

しぐれは尋ねる。


「趣味とか、飽きたからとは言いませんよね?」

僕は、少し皮肉めいた言い方をした。


「いいえ。もっとひどい理由です」


ひどい理由?


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