第12話

「本題に入ろうか、ジオラマのトキオくん」

「ジオラマということは、僕はオリジナルではないんだね・・・」

「いや逆だよ。君がオリジナルで、僕はクローンだ」


クローン?


「つまり僕は、君の細胞から作られた、異なる存在」」

「異なる存在?」

「うん。百聞は一見にしかず。これを見て」


目の前のトキオは、窓を開ける。

そこには・・・


何もない・・・

いや、わずかだが塊がある真っ暗な空間があった。


「あそこは宇宙。かつて、星があった場所」

「星?」

「地球を初めとする星は、全て爆発した」


目の前のクローンのトキオは、淡々と語る。


「なら、ここはどこ?クローン」

「宇宙は今、ビックバン以前の状態になった」

「ということは?」

「そう、これから新しい宇宙が、始まる」


なら、わからないことがある。


「なら、どうして僕としぐれは?他の人たちは?」


クローンは、微笑む。


「神も、やはり記念として少し残しておきたかった。それが君のいたあの世界」

「なら、しぐれは?」

「しぐれは、先にここに来た。そして、全てを託した」

「何のために?」

「君の案内人として・・・」


案内人?


「僕といっしょにいたしぐれも、あのしぐれのクローン」

「でも、どうしてクローンが、創造主になったの?普通は逆では?」


クローンは、何やら考えている。


「なら、直接訊いてみるかい?」

「誰に?」


「神だよ。神・・・」

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