第7話

「私と君は、特殊な存在」

「特殊?」

しぐれの言葉に、僕は驚いた。


「おそらく、この世界の創造主は、間違って私と君だけを、生きたままこの世界に配置したらしい」

「生きたまま?」

「正確には、違うな・・・この世界の住人も動かないだけで生きている」


植物のような、存在か・・・

いや、それとも違うか・・・


「しぐれ・・・」

「どうした?」

「この一ヶ月間、君はどうしてた?」

「私は探ってた。この一カ月、創造主を」

「みつかったのか?」


しぐれは首を横に振る。


「いや、見つかっていない。ただ・・・」

「ただ?」

「間違いなくこの世界は、誰かにより作為的に創られた世界」

「・・・なら・・・」

「私と、君以外にもいるかもしれないな・・・同じ存在が・・・」


しぐれは、僕の手を取る。


「行こう。この世界の創造主の元へ」

「わかるの?」

「いや、わからない・・・でも・・・」

「でも?」


しぐれは、笑みを浮かべる。

怖い笑顔ではあるが、彼女の笑顔は初めて見た。


「おそらく、この世界は囲いの中に創られている。なので・・・」

「なので?」

「そう長くはかからない。行こう、トキオくん」


しぐれの力は強い。


「トキオくん、まずは、電車に乗ろう」

「電車に?」

「時刻表は創られているが、おそらくエンドレスで動いている。そうすれば規模はわかる」


山手線や、大阪環状線のような感じか・・・


そうとなれば、善は急げだ。


「行こう。しぐれ」

「頼りにしてるよ、相棒」


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