第5話

「今日は、何月何日?」

しぐれが尋ねてくる。


「だから、何月何日」

僕は、スマホを見て、それに表記されている日付を言った。


「20××年○月△日」

「正解」


それと、違和感とどういう関係があるのだろう?


「トキオくん、電車は好きか?」

「まあ、それほどコアではないが、割と好きだよ」

「そうか・・・」


しぐれは、ため息をつく。


「昨日は、とまどっていたから、気付かなかったと思うが、今日ならわかるだろう」

しぐれは、何を言いたい?


しぐれは、駅の方を指差した。

昨日同様に、電車は動いている。


ドアの開閉はあるが、乗客の乗り降りはない。


「違う。私が指差したのは乗客ではない」

「じゃあ、何を?」

「もう一度、良く見て。君ならわかる」


そういって、駅を見る。

複数の電車が、正確に動いている・・・


動いて・・・


「あれ?」


僕は驚いた。


あの電車は、僕の住んでいる地区では走っていない。

それも、ひとつだけではない。


どれも、これも、僕の地区では走っていない。

それも、複数の地区では走っている。


それに、なぜ新幹線と在来線の通勤車が、同じ路線を走っている?

それに、既に廃車になったのもある。


「気がついたか?」

「ああ」

しぐれは続けた。


「ここは、ジオラマの世界。ジオラマなら何でもありだ」

しぐれは、冷静に答えた。


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