名前を少女に…

「ん、ここは…教会の医務室…あれ?俺確かあのクソ野郎を追いかけようとして…」

目を覚ますとそこは、滅多に使わない協会の医務室のベッドの上だった。

横を見るとアゲハが寝ている。

「・・・目ヲ覚マシタノデスネ。」

声の聞こえる方を見るとVinoとMayそして助け出した少女がいた。

「大変だッタよ。こコまで運ぶノ。」

そうMayが言ってきた。

「ははっ、ありがとうなVino君にMayお嬢様。それにお嬢ちゃんもな…」

そう言ってMay達にお礼をいい少女の頭を撫でた。

「あの…なんで…私を?」

そう少女は不思議そうに言う。

「お嬢ちゃんがVino君をあの場で直したんだろ?でないとMayお嬢様だけでは運ぶ事出来ないしあの状態じゃVino君も満足に動ける状態じゃ無かったしな。」

そう言うと

「・・・ハイ、驚キマシタ。アノ暗闇ノナカ応急トハ言エアナタヲ運ベル程ノ機能マデ回復シマシタカラ。」

とVinoが言ってきた。

「そうか…なぁお嬢ちゃん…へぶっ!!」

少女にある事を言おうとした瞬間頬に衝撃が走る。

「この、馬鹿!!ちょっと出かけるって言って出て行ってなんでVinoさんに担がれて帰ってきてるの?それもお腹から血を流しながら!!ホントに死んじゃうんじゃないかって心配したんだから。」

そう涙ぐみながらさっきまで寝てたはずのアゲハが怒ってきた。

アゲハの顔をよく見ると泣いた跡がある。

「ははっ、すまないな。でも流石に重傷者に本気の平手打ちってのは勘弁してくれよ。」

そう言ってアゲハの頭を撫でる。

「うぅ、心配だったんだからパパの馬鹿。」

そう言って抱き着いてくる。

「おいおい、Mayお嬢様やVino君も見てるしパパって呼ぶなって言いたい所だけど今は特別にな…」

そう言ってアゲハをなだめながら

「なぁ、お嬢ちゃんあの盗賊団から抜け出せたがどうする?行く宛てはあるか?」

そう少女に尋ねる。あえて、何故あの盗賊団にいたのかは聞かないようにした。

「…あっ、その、えっと…」

と少女はオドオドしている。

「その様子だと行く宛ては無いみたいだな。どうする?ウチに来るか?」

そう言うと

「えっ、…その私なんか…」

そう少女はどこか遠慮したように言葉を詰まらせていた。

「あのな、子供が変に遠慮なんかするんじゃねぇよ。それにお嬢ちゃんのその才能と経験ここで磨けばよりいい物になるからな。」

そう少女に言う。

「えっ!?この子私と同じみたいに機械のメンテナンスとかできるの!?」

そうアゲハが聞いてきた。

先程まで泣いていたのが嘘のように明るい声だ。

「あぁ、この子の腕前は下手すりゃアゲハ以上の腕前になるかも知れねぇぞ。」

そうアゲハに言う。

「ねぇ、この子と部屋一緒にしてもいい?」

アゲハは嬉しそうに聞いてきた。

「あぁ、そうだな…始めからこの子はアゲハに任せるつもりだったしな。」

そう言うと

「やった!!ありがとうパパ!!」

そうアゲハが言ってきた。

「そうと決まればお嬢ちゃん名前は?流石にお嬢ちゃんってのは呼びにくいからな。」

そう少女に名前を聞くと。

「あの…私…ずっとガキって呼ばれてて…」

そう少女が言った。

「そうか…ならお嬢ちゃん、お嬢ちゃんの名前はそうだな…」

そう言いながら少女を見る。

ふと綺麗な黒い髪が目に入った。

「よし、お嬢ちゃんの名前はクロハだ!!それでいいか?」

そう少女に尋ねると

「えっと…私の…名前…いいの?」

と聞いてきた。

「良いも何もお嬢ちゃんの名前だ!!誰のものでもないしお嬢ちゃんだけのものだ。」

そう少女に言うと

「嬉しい…あ…ありがとう…」

そうクロハは少し照れながら言ったと同時に誰かのお腹の音が響く。

音の出処を探るとクロハが顔を真っ赤にしながら恥ずかしそうに俯いている。

「ははっ、緊張の糸が解けたか。よし、簡単なものだけど作ってやるよ。」

そう言ってクロハの頭を撫でベッドから起き上がりキッチンへと向かう。

「よし、簡単な物だけど食べな。」

そう言って即席で作ったナポリタンをクロハに渡した。

「あ…ありがとう…お…美味しい…」

そうクロハは夢中にナポリタンを食べている。

「・・・アノ、私タチハソロソロ失礼シマスネ。」

そうVinoが言うのと同時に

「ストップ!!Vinoさん。Vinoさん応急処置しかしてないでしょ?もう1度診てあげるから。それにクロハの腕前が見たいし、私の腕を見せてあげたいし。」

とアゲハが言った。

「・・・コレハ断ッテモダメソウデスネ。」

そうVinoが諦めたように言った。

「ははっ、Vino君観念してやってくれ。」

そうVinoに言い、

「Mayお嬢様も一応診てもらっておきな。」

とMayに言った。

「はーイ!!Vinoが終わっタラ診てもらウ!!」

とMayは少し嬉しそうに言った。

そうしてVinoのメンテナンスとMayの検診をしていると夜が更けていった。


「・・・アリガトウゴザイマス。オカゲサマデ神経回路並ビニ各部品ノ違和感ガナクナリマシタ。」

そうVinoが言ってきた。

「2人トも疲レて寝チャってル」

そうMayが言ってきた。

「あぁ、そうか。」

そう言ってアゲハの工房の方を見ると2人は眠っていた。

「始めは少し不安だったが無事に仲良くしてくれてるな。」

「フふ、ホントの姉妹みたいだっタヨ。」

「・・・エエ、ソウデスネ。ホント二ズット昔カラ一緒ニイタカノ様ナ感ジデシタヨ。」

そう2人が言った。

「・・・私達ハトリアエズ家ニ帰リマスネ。」

そうVinoが言った。

「あぁ、今度は気を付けて帰りなよ。流石にまだ腹の傷が痛むから戦闘は出来ないからな。」

そうVinoに向かって言った。

「・・・ハイ、気ヲツケテ帰リマス。2人ニヨロシク言ッテオイテ下サイ。」

「まタね、神父さン。」

そして2人を見送った。



・・

・・・

・・・・

「何してるノ?」

そう女性型の絡繰人形が尋ねてくる。

「一服又は小休止さ。」

そう生臭神父が紫煙を燻らせながら答える。

「オオカタ、サボリデショ。」

そう執事服を着た絡繰人形が辛辣な一言を言う。

ここは下層街区の2人の絡繰人形の家

これは2人の絡繰人形と出会った生臭神父のお噺

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NemesissCodeサイドストーリー @Dr10311621

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