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俺が何度か強く揺すると彼女は意識を取り戻す。俺は流石に、少しは酔いが覚めていると思っていたがそんなことはなかった。

「んん〜。あれ?ど、うしたの?」

「もうみんな行っちゃったよ。俺がお前の介抱を任されたから、これからお前を家まで送る」

「え?夜はこれからだよぉぉぉ」

彼女は最後の言葉を発したら腑抜けるように力が抜けていくのが見える。そして、テーブルにベターとへたり込む。

「ほら、肩貸すから、取り敢えずこの店から出よう。もうみんな行っちゃったし、迷惑になるかもしれないから」

「んー、わかったよー」

彼女はそう言って俺の肩を借りて立ち上がり、2人で店を後にする。

2人で肩を合わせながら俺の車が停まっている駐車場に向かおうとした。しかし、彼女は指で駐車場とは別の方を指し俺を先導しようとしている。これはどう言うことだ?このまままっすぐ行けばすぐなのに?もしかして、こいつも車で来てたのか??もしそうならかなりめんどくさい状況なんだが。どうすればいいんだ?あ、別にこいつの親御さん呼んで車回収...いや、もう夜遅いしあっちもアルコール入ってて来れないみたいなこともあるか。それを考えるともう無理だな。てゆうか、こいつがもし自分の車に乗ってきたとしたらどうゆうつもりだったのだろうか。飲んだら車運転できないんだから帰れないのに。しかも、自重するつもりは全くなくて酔い潰れてるし、どう言う意識だったんだ?まあ、聞いたところで俺が納得するような言葉は返ってこないだろう。まず、こいつが車で来たかも怪しい。こいつ、ただ酔ってて俺を縦横無尽に動かして弄ぶ気なんじゃないだろうな?だってそうだろ。俺が車停めたところ以外にここの店に行く際にベストな駐車場なんてないんだからか、本当にもし車が目的なら酔っていても俺が向かおうとしてる方向と同じ方に歩みを進める筈だ。つまり、俺をからかって弄んでいる?

俺はそんなことを思いながら、彼女が指で示す方向に彼女に肩を貸しながら歩いていく。

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