社畜は初デートに行く
トラウマってのがある人というのはそこまで珍しい事でもないだろう。トラウマってのはない奴には理解出来ないことだったり、なくてもなんとなく分かるものがあったりする。因みに俺はトラウマがある側の人だったりする。それも、とびきり理解しにくい奴。今は伊月のお陰でだいぶよくなったのだが、高校時代はよくからかわれた。トラウマの詳細は思い出したくないのであまり言いたくないが、そのトラウマのせいで俺は女が死ぬほど怖かった。見るだけで脳がふru…じゃなくて、体が震えるほどに。それが治ったのが大学時代の後半だったもんで、童貞で彼女いたことなし。女の子とのデート?そんなの一生出来ねーよ。そう思っていた時期が私にもありました。目の前にそのデートのチャンス来ちゃったよ。
武田「デートかあ。いいんじゃねぇの。」
え、マジ、嘘。デート!伊月と。まっま、マジか。
伊月「あれ?先輩がデートのお誘いで、キョドらない!」
武田「まぁ、ただ出掛けるだけじゃあ今の俺はキョドらんよ。」
嘘でーす。心の中でもめっちゃキョドってまーす。やっべ、キョドりすぎてテンションと口調が丘people。
伊月「でも先輩の事だから、心の中でキョドってるとか?」
武田「な、なんの事かしら。」
伊月「口調おかしくなってますよ。しかしなるほど。今の先輩は図星だとキョドるんですね。」
武田「…」
伊月「沈黙は肯定ととらえます。これでまた、先輩の弱点を見つけることができましたよ。」
この後輩悪魔、鬼、お前人間じゃねえ!ホントに伊月には頭が上がんない。ってかこいつと二人で出かけるのは、よく考えると不味くないか?
武田「すまんがデートはやめないか?見られたりすると不味いからさ。」
伊月「えっ。みられたら不味いって、か、彼女とか?」
そうやって聞く伊月は何故か寂しげな声で、焦っているような感じだった。
武田「そうじゃねえよ。普通に俺とお前が出掛けたら、俺が不審者だって思われるかもしれないだろう。小学生を誘拐した。」
すると伊月は安心したように言った。
伊月「よかったあ。彼女とかじゃなくて。」
何で安心してんだよ。いや、何故こいつが安心したのか、俺はなんとなく気づいていたのだ。だが、ヘタレな俺はそれを確かめようとはしなかった。
伊月「それよりさっきの言い方だと、まるで私が小学生の見た目って事じゃないですか!」
武田「その通りだろ。」
伊月「最近は中学生に間違えられるようになったんですから。」
誇らしげにそう言いやがった。正直どこもドヤれる要素がないのだが、黙っててあげよう。さすが俺、やっさしー。
伊月「てか、前に2人で出かけたことあるじゃないですか。」
武田「あの時はもう一人いただろ。俺の友達が。」
伊月「ああ、そんな奴いたかもしれませんね。私、あの人苦手だった記憶があります。」
武田「そんなこと言うなよ。俺の古くからの親友なんだからさ。」
伊月「だってあの人、先輩を狙ってるような気がしたんですもん。」
武田「いやいやいやいや、あいつ男だぞ。なんで、俺を狙うんだよ。」
伊月「『女の勘』がそういってます。」
何だよその女の勘って。妙に説得力あるように感じるからこえーよ。その女の勘が外れることを祈らねーとな。さすがに親友がホモで俺が好きとかシャレにならん。
伊月「とにかく先輩が私とデートしても問題ないはずです、…たぶん。」
多分って、言いやがったよ。小声で。せめてはっきり問題あるって、言ってくれよ。
伊月「第一先輩が不審者なのは、そのかみのせいです。ちょっといじらせてください。」
そういって、伊月は俺の髪に手を伸ばしいじくった。
武田「ちょっ、そこいたいから、やめてぇ。」
伊月「うるさいですねぇ。黙っていじらしてくださいよ。」
武田「ちょっ、そこは、アッ、アーーーー♂。」
武田「お前わざと痛くなるようにやっただろ。」
伊月「先輩がいちいち卑猥な表現するからですよ。男子中学生ですか。」
武田「…。」
ぐうの音も出ねぇ。こいつに中学生みたいっていわれるとか、屈辱的すぎるんだが。
伊月「でもまあ、この髪型なら不審者とは思われないと思いますよ。」
武田「そうかよ。」
伊月「それじゃあ、デートに行きましょう。」
武田「つっても、今5時過ぎだが、どこに行くんだ。」
伊月「それは行ってからのお楽しみってやつです。」
武田「そうか。それじゃあ、行くか。」
伊月「はい。」
そして家を出て、お楽しみの場所?にむかった。
着いた場所はゲーセンだった。
武田「まあ、悪くないチョイスなんじゃねぇの。」
伊月「ここに来たんですし、やることは一つ。」
武田、伊月「「 音 ゲ ー だ ! !」」
ゲーム音のうるささ。UFOキャッチャーでお目当ての品を探す人。そして、音ゲーマーたちの人間離れした技。ゲーセンに来たって感じがするぜ。
伊月「先輩、例のアニメのOP収録されたらしいですよ。」
武田「出すか。最高スコア。」
そうして、俺らは音ゲーをすることになった。因みに、音ゲーは伊月の方がうまい。意外なことにな。
伊月「先輩ミスしすぎ。ほんとに音ゲーマーなんですか。」
武田「可をミスっていうのやめろ。そんなホイホイ難関曲を全良するお前が異常なんだよ。もうプロになれよ。」
伊月「確かにいいかもしれませんね。先輩みたいにブラック企業に勤めるのも嫌ですし。」
武田「バカ言え。俺の会社はまだましだ。給与だけはクソ高いし、結構スキル付くしな。単調作業を低賃金でやらせるところよりはるかにましだ。」
伊月「先輩、それかなりの重症ですよ。残業だらけの会社をまだましっていうなんて、完全な社畜じゃないですか。」
武田「うっせー。」
自分の会社のブラックな部分を指摘されてきれてるあたり、俺の社畜病はかなりの重症らしい。
伊月「重症といえば、昔先輩って女性恐怖症でしたよね。」
武田「正確にはなりそうだった、だがな。一歩間違えたら本当に恐怖症になってたかもしれないが。」
伊月「それで高校時代よくからかわれたんですよね。」
武田「ああ。中学だともともと絡んでたやつらは理解してくれたんでな。高校でもわかってもらえると思ってた時期が私にもありました。」
女子にからかわれすぎて余計怖くなったんだっけ。思い出したくねぇ。マジで今でも怖いんだが。
伊月「でも、大学ではこの優しい私が先輩を理解してあげたんですよね。」
武田「そうそ…、いや待て。お前俺のこと理解したうえでからかってたようなきがするんだが?」
伊月「ええっと…。そ、それより!」
強引に話し逸らしやがった!
伊月「先輩のトラウマってなんでしたっけ?」
武田「それは確か中2の時…」
そうだ。中2の時俺の日常は、1人のババアによって壊れたんだ。
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