社畜は生意気後輩の悩みを聞く

人間の3大欲求の中で1番大切なのは睡眠欲だと、俺は思う。睡眠をとらなければ人は基本頭が回らない。ひとが睡眠をとることは必須なのだ。しかしこの世にはそんな睡眠時間を簡単に減らしてくる悪魔がいる。くそ上司と、この生意気後輩だ!


武田「で、悩みってなんだ。」

伊月「そっ、それはですねー。えっとぉ。」

伊月の表情が変わった。なにやら焦っているようだ。なんか変だな。大学時代俺を散々からかったこいつがこんなたどたどしくなるなんて。顔色も少し悪いような。ここは、気を使ってやるか。

武田「話しにくいことなら話したくなるまで待ってやるよ。」

伊月「先輩が優しい!さては偽物か。」

武田「なんでだよ。」

伊月「だって先輩いつも、人の不幸は蜜の味とか、あいつざまーとか、ロリは最高   とかいってたじゃないですか。」

武田「最後のはいってねーよ。俺ロリとかきょーみねーよ。」

伊月「ふーん。そーなんですかー。」

何故か少し、怒った表情になった。何で少し切れてるのだろうか。でも、調子戻ってきたようなきがする。ちょっと軽口たたくだけでチョーシを取り戻すのは、流石伊月だなと思う。

武田「で、話す気になったか。」

伊月「はい。実は私ストーカーされてるんだ。」

……。そー来たか。やりたくねー。いや、別にめんどくさいからじゃないよ。まあめんどくさいのもあるけど、ストーカー系のものにはトラウマが。うん、断ろう。俺には向いてない。

武田「お前には大学時代の借りがあるしちからになってやりたい。だが、やっぱ怖   いし今回はya…」

伊月「ん?なんですか?」

そういいながら脅しの写真を見せてきた。どうやら拒否権はないらしい。    こうして俺は、生意気な後輩に協力することになった。



武田「じゃあ、詳しい話は明日でいいか。」

早く寝てーし。

伊月「まーいいですよ。」

つか、外が暗くなってやがる。こいつのストーカー被害がどんなもんかわからんが、さすがに一人にするわけにはいかないよな。うん、俺優しい。

武田「外暗いけどどうする?」

伊月「じゃあ、ここに泊まらせてもらいますね。」

…は?今こいつ泊りって。エ○ゲーでありそな展開だぞ。ととととりあえずここは。

武田「え?なんだって?」

ここは難聴系でやり過ごそう。さっきは無理だったが、本気の難聴系で。

伊月「無駄ですよ。先輩昔、俺FPSで耳鍛えてるから小さい音も聞こえるんだぜ、っ   てどや顔で言ってたじゃないですか。」

武田「何でそんなこと覚えてるんだよ。ヤンデレなの?」

伊月「なっ、私が先輩にデレるわけないじゃないですか。勘違いしないでくださ    い。」

何でツンデレみたいに焦ってんだよ。どうせならクーデレにしろよ。

伊月「先輩のようなヘタレなら手を出さないと思っただけです。お泊りくらいで、   これだから童貞は。」

武田「ん?なんだと。いいかよく聞けくそビッチ。」

伊月「処女ですけど。」

武田「じゃあ、処女ビッチ。」

伊月「矛盾してるじゃないですか。」

武田「と に か く 20代の童貞はな、40%以下の割合しかいない貴重な存   在。つまり選ばれし男なのだ。」

伊月「どの女性にも選ばれなかったのまちがいでは?」

こいつ!痛いところをついてきやがった。

武田「童貞も守れない男に、何が守れるんですか?」

伊月「何も捨てることのできないひとには、何も変えることはできない。」

グサッ!もうやめて。俺のライフはもうゼロよ。

伊月「先輩、メンタル弱すぎ。」

そんなやり取りがあって、俺たちは寝た。こいつはベット。俺は床。朝起きると体が痛くなりそうだ。お泊りイベントはラブコメで大きいことと言われているが、実際は寝るだけだ。特になんもない。まあこれも、こいつと俺が気軽な仲だからだろう。こいつには結構世話になった。こいつがいなかったら、俺はどうなっていたか。こいつのために睡眠時間を削るくらい、いいんじゃないか。


この考えがのちに自分の首を絞めることになると、この時の俺は知るよしもなかった。

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