第26話 無題4
「どうです?わたしのお城は?」
「家賃は誰が払ってる?」
「お父様とお母様でございます」またニヤニヤと嫌らしい笑みを浮かべる。
「すね齧り野郎が」
「お前は違うのかい?」
「おれはバイトしてるよ」
「じゃあ仕送りもないわけ?え?」
言葉に詰まる。
「うるせーなぁ、お前よりはマシだ」
三本の缶チューハイの末、ウイスキーのボトルを開け、ロックでた易く飲み干した。秋山は酒に強く、おれも酒に強いことに気づかされた。
酔った俺達は哲学から卑猥な話までありとあらゆることを語り尽くした。
政治。酒。性感帯はどこか。酒。フロイトとユング。酒。小説。酒。太宰治の心の内。酒。酒。酒酒酒。趣味。酒。好みの女性。酒。髪型、子どもの頃の夢。酒。高校時代の想い出、部活…・…酒…酒…酒さけsake…………。
「秋山、愛ってなんだ?」
「お互いの妄想」
「つまり愛とは相手を見ているようで、自身の中の妄想の相手に恋をしているということか?」
「そういうことになるな。大体、人間が、いや、全ての動物、生命が他者を理解することは永遠に不可能なんじゃないのかな。自分の脳みそから抜け出せないだろ?つまり、自分の主観でしか判断できない」
「確かに。……理解した。分かり合った。愛し合っている。というのは自分の中の思い込みでしかないな。じゃあコンピュータは?」
「あれはデッカイ一つの存在だ。モンスターだろ?人類はとんでもないものを作っちまった」
「ターミネーター的な未来は訪れるかな?」
「確実に訪れるだろうな」
「ネコ型ロボットは?」
「あれは作者の妄想だ。悲しいことに。もし人類があと数日で滅亡するとしたらお前は何したい?おれは風俗嬢に囲まれながらエンドレスに快楽の海に沈みたいね」
「あっそ、お前らしいよ。おれは……とりあえず旨い飯喰いたいな。特上寿司をエンドレスに食べ続ける」
「……腹減ってんのか?」
「酒の量に対して、つまみが少なすぎたな……」
「あぁ、やっちまったな。すぐなくなっちまったもんな。ポテチ三袋じゃ足りなかったのかな?」
「ビーフジャーキー一袋のことも忘れないで」
「喰った喰った。ビーフジャーキー喰ったわ……そして今はもう、何もない」
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