第20話九月二六日㈯③
「私を見ていないっていうか。その、体ばかり見ているというか……」胸がでかいという自覚はやはりあるのか。「全然話したことない男子とか、話をしていても合わない人達ばっかりなんです。どう合わないかは説明できないんですが……。松山さんは彼女いないんですか?」
「おれ?おれは彼女いるよ」
「え?」高倉結衣の顔が一瞬時間が止まったように動かなくなり、その後目を伏せ、「そうなんですか……」とつぶやくように一言。
それからコーヒーを飲みながら三十分ほど話し、デパートで高倉結衣が気に入っているという服屋を見てまわった。頭のどこかに友子が浮かぶ。
どこかのバーのカウンタ―で秋山とおれは肩を並べドライマティーニを飲んでいる。
秋山が、ニヤニヤしながら
「お前はかわいそうだな」とマティーニの中から指ですくい上げたオリーブを頬張りながら言う。
「……なんでおれがかわいそうなんだよ?」
「だって、お前いつ見ても幸せそうじゃないんだよ。一人の時も彼女といる時も、友達といる時も。あの高倉という女といる時も。何かに苦しんでいるみたいだぜ。苦しんでいるというよりも恐れているのかな?お前、ハムレットかよ?へへへ」
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