第19話 九月二六日㈯②

 「そうなんですよね。私の友達も違う友達といる時なんか雰囲気違ったりするんですよね」

 「結衣ちゃんは違わないのかい?」

 「私、それがよくわかんないんですよねー」

 おれはこの時、高倉結衣に天使を見た。それと同時に不安と恐怖も感じる。きっと彼女は家族や友達に愛され、大事にされてきたのだろう。それ故、仮面を付けて会話をするなんてことをしてこなかったのだろう。恵まれた環境。奇跡の環境。

 「もう~、またじっと見ないでくださいよ~」高倉結衣が恥ずかしそうに顔を赤らめ下を向き目だけでこちらを見る。

 「あ、ごめんごめん、ハハっ、そういや、結衣ちゃんには彼氏いないの?」

 「いないんですよー、最近周りはみんな彼氏いるんですけどね」

 「だけど告白とかはされただろ?」

 「まぁ、数人からはされましたけど、何か違うんですよね」そう言いながら前髪をいじり出す。

 「何が違うの?」

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