第21話 九月二六日㈯④

 おれは、酔いが足りないと感じマティーニを一口飲む。心にポッと火が灯る感覚。

 「何から恐れてるように見えるんだ?」

 「見当はつくけれど、お前はそれを知って耐えられる器があるように思えんよ」

 おれは、残ったマティーニをぐいっと飲み干し、「教えてくれよ」と秋山につぶやく。

 「無理だな」

 「なんでだよ?」

 「お前をかいかぶっていたようだ。同じことを聞くな。時間の無駄。さっき理由を言っただろ?」

 「大丈夫だよ。いいから言えよっ」

 そこで夢は覚めた。

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