第7話 九月二十二日(月)②

 二階建ての大きな書店へと足を運ばせる。店内には少ないわけではないが決して多くはない客たち。紙媒体の衰退、電子書籍のせいなのか、もともと平日はこれだけの客しかいないのか。CD、DVDの販売、レンタルビデオなども展開していたが、今ではパソコン1台あれば映像ソフトはダウンロードできるし、少しの知識があれば違法かもしれないがDVDをコピーできてしまう時代だ。だからか、こちらのコーナーにも客はあまりいなかった。

 おれは文庫コーナーを当てもなくうろつき、カミュの『異邦人』を立ち読みしたりした。

 ふと、メモ帳を買おうと思った。その時々に感じたことをメモしようと思ったのだ。


―百年も経てば、お前なんか風化してどこにもいなくなる。足跡すらも……おれも。じゃあ、なんで生きているのだろうかー

あいつの言葉が頭にちらつく。失せろ。


 手の平サイズのメモ帳を選び、レジへと進むと、二つあるレジにはすでに書籍や文房具を手に持った客が並んでいた。ちくしょう、少ない客しかいないのに並んでやがる。

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