第3話 九月十八日(木)③

 おれは重い身体を引きずるようにしてリビングドアの横にあるインターホンに近づき、受話器をとる。

 「はい……」

 「私よっ!早く開けなさいよっ!!」

 友子だ。


 ガチャ、鍵を外すとすぐさまおれがドアノブに手をかけるより早く扉が開く。扉にぶつかりそうになるのをおれはさっと後ろに身を引く。ショートヘアーの目のクリクリした友子が扉の向こうから現れ、

 「もう~、なんで私の城なのに入れず扉の前で悶々とあなたが鍵外すのを待ってないといけないのよ~」言葉は怒っているが口調は明るく、顔は笑顔であった。

 「ごめん、寝てたから鍵かけてた……用心のためにね。鍵、持ってないの?」

「鞄から出すのめんどいでしょう!まあいいわ、それより聞いて~、昨日の飲み会ほんと最悪でさ~」

 その後、友子が何を話していたのか。うん、うんと合鎚をうつばかりで流して聞いていたため覚えていない。二十分後、おれと友子はベッドで寝ていた。


 体がダルイ。汚れ切った油が体内を循環している。頭も重い。吐き気がする。起きている間、意識が浮上している時はいつもこうだ。傍らですやすやと寝ている友子や他人もそうなのだろうか。いつからこうなったのだろうか。

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