第2話九月十八日㈭②
二〇階に位置するマンションの網戸から秋の涼やかな風が優しく流れてくる。照りつける太陽、夏と秋が入り混じった時季。
おれは床で寝ていた。寝起きのせいか意識がはっきりとしない。顔に覆いかぶさっている髪をかき上げる。肩まで伸びた髪の毛は邪魔でしょうがない。ひげをかれこれ一カ月ほど剃っていないため、どこかの狩人のように頬から下は髭のジャングルだ。ここまで生えると剃る気力を失う。
頭の中に使い切った黒くて汚いぎとぎとの油が詰まっているようで気だるい。目を擦りながら置時計を見ると、針は一四時を指していた。
だんだんと状況を把握し出す。ここは友子のマンションだ。
ピンポーン……ピンポン!ピンポーン
インターホンが正解を告げるようにタイミングよく鳴り響く。
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