さよならモラトリアム
@mizukawas
第1話 九月十八日(木)①
背中にまとわりつく黒い粘着質な塊を背負いながら、石段を一歩、また一歩上って行く。
石段は、階段ピラミッドのように段が何層にも重なっている。しかし上を見上げても頂点が見えない。どこまで続いているのか。
おれは何故、石段を上っているのか?石段以外に見えるものはなく、周りはほとんど真っ暗闇。しかし微かに明るく、視界が見えないわけではない。
一歩足を踏み出すごとに、背中の黒い塊は重みを増していく……。
おれは何故こんなものを背負い、石段を上っている。
ジリリリリリッ……!!
置時計のアラーム音。おれは夢から目を覚ます。
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