密林の賢王 第九話 朝食

 ユニは自分が失言したことを悟ったが、なぜ王の怒りを買ったのかを完全に理解したわけではなかった。

 だが、王を怒らせたことは事実だ。

「申し訳ありません! 私は王国に現れる者しか知らないのです。失礼があったのなら謝ります」

 彼女は頭を下げて謝罪したが、王の怒りは収まらなかった。


「よい。無知を責めても仕方あるまい。

 だが……クソっ、やはり酒はいかんな。理性がすぐに吹っ飛ぶ。

 とにかく、今日はここまでだ。怒鳴ったのは悪かった。だが、続きは明日にしよう。宿舎を用意させてある。客人も休まれよ」


      *       *


 ユニたちには一軒の掘立小屋が宛がわれた。もちろん見張りなどは付けられなかった。

 三人で過ごすのに十分な広さで、オークの獣臭が染みついているのは仕方がないが、床に敷き詰められた枯れ草は新しいものらしく、よい匂いで悪臭を緩和してくれていた。


 王は人間とオークの食事とでは、かなりの差がある――有体に言えば、人間には生理的に受けつけられないものが多いことを知っていて、甘い木の実と水だけを提供してくれた。ユニたちは手持ちの食糧で夕食を摂りながら、今日の出来事――特に王との会話を詳しく検討した。


 まず第一に、オークに一定の文明があり、ことさら凶暴ではないことは認めざるを得なかった。

 王が人間の言葉を自在に操れる経緯も納得のいくもので、だとすれば教育次第で人間の言葉を習得可能だということも分かった。

 逆に言えば、オークの協力が得られれば、人間が彼らの言葉を学ぶこともできるはずである。これは今後のことを考えると、実に有益な情報だった。


 次に、辺境と密林のオークのあまりの違いよう、そして王が激怒したことからも、この両者は全く違う存在として扱わなければならないことが明白となった。

 これは、特にユニにとって受け入れがたい概念だったが、無理にでも納得しないことには話が進まない。

 むしろ、ほとんど別種族と言っていい両者が、同じオークとしての外見を持っているという新たな謎が浮かび上がった。


 やはりアリストアの言うとおり、密林オークの祖先や故郷の話を聞く必要がある。

 〝穴〟がこの世界に放り出す異界の生物のうち、オークがそのほとんどを占めるのはなぜか。そのオークが示し合わせたかのように辺境を目指すのはなぜか。密林のオークがオーク本来の姿だとすれば、辺境のオークはなぜ彼らの文明を忘れて凶暴化しているのか。

 そうした疑問を解決するヒントも、オーク王から聞き出せるような気がしてきた。


 検討が済むと、ユニは村の外で待機しているライガたちオオカミとの連絡を試みた。

 群れはかなり近くに潜んでいるらしく、問題なく意志を交わすことができた。ユニは王との会談の様子をオオカミたちに伝え、彼らにまだしばらくは待機するように伝える。

 オオカミたちは村の周辺だけでなくかなりの広範囲を調査したらしく、その結果を伝えてきた。


 それによると、オークの集落はこの村以外に見当たらず、南西を取り囲む国境線の警備は比較的緩いが、逆に東北方面にはあちこちに柵や樹上の見張り所があり、厳重な警戒がなされているということであった。

 当然この情報は、ユニからアスカとゴードンに伝えられた。


「オオカミたちの話だと、北や東の警戒に当たっているオークはどこも十人くらいの集団で、かなり殺気立っているそうよ」

 ユニの話を聞いたアスカとゴードンは少し考え込んだ。

「つまり、西や南の国境線は人間を遠ざけるためのもので、オークたちには人間と敵対する意思がない。逆に北か東には、明らかに敵対している勢力がいるということか」

 アスカが感想を洩らすと、ゴードンも同意する。

「その敵対する勢力ってのは、人間以外の生物ということになるな。

 もし敵が人間だったら、俺たちをやすやすと連れて来ないだろうし、村の連中の反応も違っていたはずだ」


「……ということは、タブ大森林に出現したオークかもしれんな」

 ゴードンの言葉にユニは目をみはった。

「まさか! だって、オークは辺境を目指すはずよ」

「だが考えてみろ。オークの敵対する相手が人間でないとしたら、この世界でわざわざオークに戦いを挑むような馬鹿がいるか?

 もしいたとしたら、それは同じオークでしかありえない――と俺は思うがな。

 タブ大森林とこの南部密林は一部分で隣りあっていると聞いたことがある。間を隔てるのはそう大きくない川と低い丘陵地帯だけらしい。

 腹を減らした新参者のオークが、豊かな密林を目指したとしても不思議はないだろう」


「う……」

 ユニは言葉に詰まった。ゴードンの推測は筋が通っている。

「と、とにかく、王さまに直接確かめればいい話じゃない。

 もう真っ暗になってずいぶん経つわ。そろそろ休みましょう」

 彼らは灯りを兼ねた囲炉裏の火に灰をかぶせておきの状態にし、快適な暖かさの中で眠りについた。


      *       *


「カン、カン、カンッ!」

 木を叩く乾いた音が煙った空気を通して聞こえてくる。ユニはその音で目を覚ました。

「またアスカとゴードンが朝稽古しているのね……まったく熱心なことだわ――って、えっ? えええっ!」

 ユニはがばっと跳ね起きた。

 まだ薄暗い小屋の中を見回すと、案の定二人の姿はない。


 彼女はあたふたと戸口を覆う二重のむしろを跳ね上げて外に出た。

 村の広場にはオークたちの人垣ができており、その中から「カンカン」という音がはっきりと聞こえてくる。

 オークたちを無理やり掻き分けて輪の中から顔を出すと、アスカとゴードンが木槍を手にして盛んに打ち合っていた。


「ちょっと、あんたたち! 何やってんのよ!

 オークたちの前でそんなこと……刺激してどうすんのよ?」

 アスカがさっと飛び下がって距離をとり、ちらりとユニを視線に捉えた。

「ああ、ユニか。おはよう!

 心配するな、オークたちも楽しんでいるようだぞ。

 もう少しやらせてくれ」

 彼女はそれだけ言うと、八双に構えた槍を斜めに振り下ろして打ち込んだ。


 ゴードンはその打ち込みを容易く弾くと、勢いのまま身体を支点にして槍をくるくると回転させる。

 槍の回転は胴から背中、肩と移り、腰を落とした姿勢のまま腋の下でぴたりと抑え込むと、さっと開いた片手を突き出して低い構えを取った。

 曲芸のような滑らかな動きに、見物のオークたちからはどよめきと歓声が上がる。


 ゴードンは「はっ!」という気合を発し、下から下からと間断のない突きを繰り出す。

 到用とうようと呼ばれる大上段の構えに変えていたアスカは、舟を操る竿のように彼の突きをさばき、隙あらば絡めとって跳ね上げようとする。

 ゴードンの槍は変幻自在で、振り回すと弧を描いた木槍がまるで竹のようにしなって見えた。

 一方のアスカは、剣術と同様に軍に制式採用された槍術である。それは槍よりもハルバートの使用を念頭にしたもので、俗に「突けば槍、薙げば薙刀、引けば鎌。とにもかくにも外れあらまし」と称される正統流派だ。


 まったく違う流技の二人だったが、その打ち合いは息がぴったりと合い、美しさすら感じられた。

 オークたちも同様に感じているようだったが、彼らはかなり興奮しており、アスカとゴードンを追う視線には敬意や憧れが感じ取れた。

 しばらくして二人の稽古は終わり、彼らはそれぞれ最前列で観戦していた体格のよいオークに木槍を渡して礼を言った。

 稽古用の木剣は街道脇に置き去りにした荷物の中だったので、どうもオークたちから武器を借りたようだ。

 槍を返してもらったオークは笑顔で大事そうに抱えていたが、たちまち他のオークたちに取り囲まれた。みんな人間たちが魔法のように操っていた槍に触れたがったのだ。


「ずいぶんと人気者だな」

 ユニの背後から声が掛かった。

 いつの間にかオーク王が来ていたらしい。オークたちはさっと距離を取ってくれたので、三人の人間と王だけがその場に残された。


「おはようございます、ダウワース王。

 よい寝所を用意していただいたので、ぐっすりと眠れました。感謝いたします」

 ユニが膝をついて丁寧に礼を取ると、遠巻きにして見つめていたオークたちから「おお!」という感嘆の声が上がる。

 昨日とまったく変わらない、いかにも誇らしげな表情だ。


 ユニは立ち上がって溜め息をついた。

「お騒がせしてすみません。あの二人は毎朝ああやって稽古をするのを習慣としておりまして……」

「別に構わん。村の者たちも楽しんでいたようだ。

 二人が汗を拭ったら、一緒に朝食を摂らぬか?」


 どうやら昨日損ねた機嫌は元に戻ったようだ。

「ありがとうございます。それでは後ほど伺います。

 ……その前に、一つ質問をしてもよいでしょうか?」

「なんだ?」

「その……赤いマントですが、それは人間のものですよね?」


 ダウワースは「うっ!」と唸ってその場で固まった。

「……えっと、王さま?」

「あ、ああ。やはり気になるか?」

「ええ、気になるのも確かですが……昨日の話では、王は人間の文化を排除するお考えだったように思います。

 人間のマントを身にまとうのは、それに反するのでは? と疑問に思ったのです」


「まぁな。大見得を切っておいて恥をさらすようだが、実際には人間の文化はかなり入り込んでいる。

 それは俺が考え出して村人に教えた――そういうことになっているから、あいつらはオーク独自の文化だと信じている。

 〝賢王〟という呼称はその表れだ。事実を知れば噴飯ものだがな。

 それで――このマントがお前たちの目に滑稽に映っているだろうことは、十分に分かっている。だが、そう思っているはこの王国で俺一人なんだ」


 自嘲気味な笑みを浮かべながら、オーク王は白状した。

「つまり、村のオークたちはそのマントを別の目で見ている――ということですか?」

 王は苦々しげにうなずいた。

「そのとおりだ」


「そもそもオークの族長は、自らの身分を知らしめるために、全身に極彩色の入れ墨――彫り物をするのが伝統だったんだ。

 俺たちの故郷、お前たちが言う幻獣界で暮らすオークたちは、恐らくその習慣を今も続けているだろうな。

 だが、俺たちの直接の祖先、つまりこの世界に偶然飛ばされてしまったオークたちは、数が限られていたせいもあって多くの伝統を失ってしまった。

 族長の彫り物もその一つだ」


 ユニは王の話に意識を集中した。アリストアが言ったとおり、彼らは異世界の祖先たちのことをきちんと語り継いでいるらしい。

「入れ墨の技術を失った俺たちは、やむなくこの密林で得られる草木の染料で全身を派手な色に塗り、族長の権威を示してきたんだ。

 それは族長が〝王〟と呼ばれるようになっても変わらず受け継がれたが、この方法には一つ問題がある。

 ユニはオークが水浴びを好むことを知っているか?」


 ユニはうなずき、オークの自尊心を傷つけぬよう言葉を選んで答えた。

「はい。狩りの際、獲物に自分たちの臭いを覚られないためだとか……」

「そのとおりだ。オークの体臭は強い。日に二、三度は水浴びをしなければ、狩りの成功は覚束ないだろう。

 始めは必要に迫られて身についた習慣だが、やがてそれはオークの最大の楽しみとなった。

 お前たち人間が考える以上に、オークは清潔好きの種族なのだ。

 もちろん、それは王だとて例外ではない。いや、むしろ王だからこそ、普通のオークよりも多くの水浴びを楽しみたいと思うのが当たり前だろう。

 ところが、水浴びをすると全身に施した派手な模様が流れてしまうのだ。そのため水浴びの後には再び体中に模様を描かなければならない。

 熟練した絵師が数人でかかっても、複雑な模様を描くには一時間以上かかる。これを水浴びのたびに繰り返すのだぞ」


 ダウワースは深い溜め息をついた。

「俺には耐えられなかった。

 しかし、王を派手な色彩で飾り立てることは、王の権威を示すという重要な意義があるから、止めることを村の者たちは許してくれなかった。

 そこで俺は王となった数年をかけて、さまざまな代案を提示した。

 その中には、あまりに恥ずかしくて思い出したくないものも多かったがな……。

 結局のところ、村の連中が満足して認めてくれたのが、この深紅のマントだったというわけだ。

 これが人間の手になるもので、オークの文化ではないことなど百も承知だ。

 だがまぁ、オークが恐れ忌避する人間から奪い取った戦利品ということにして(もちろん嘘だ)、どうにか折り合いがついたんだ。

 これが恥ずかしいことなど、俺が一番よく知っている。

 お前たちに情けがあるなら、頼むからこれには触れないでくれ」


 懇願とは裏腹に、王は顔を赤らめながらも堂々とした態度を崩さない――いや、常に衆目にさらされている彼には崩せないのだ。

 ユニは、この獰猛な表情をした太鼓腹のオークがなんだか憐れに思えてきた。


      *       *


 ユニたちは昨日の会談が行われた同じ家屋で朝食をご馳走になった。

 木の実と果物、果汁と鶏肉を焼いたもの、そして少々えぐみのある薄いパンがメニューで、十分に人間でも食べられるものだった。

「昨日は突然のことでな、人間向けの食べ物が間に合わなかったのだ。

 これは俺の女房と娘たちが腕によりをかけたものだ。

 人間のもとで暮らしていた時の食べ物の真似事なんだが、あいつらは俺の下手な説明でなかなか上手く再現してくれたと思うぞ」


 アスカは結構な量が盛られた木皿をきれいに空にして、嘆息を洩らした。

「これは……素朴で薄味だが、かなり味はいい。盛りつけも見事だ。

 王よ、奥方とお嬢様方には、見事な腕前に感服したとぜひお伝えください」

 その横でゴードンも鶏肉を頬張りながら「うんうん」とうなずいている。

 王は満足そうに笑みを浮かべた。


「そうか、口に合って何よりだ。ユニはどうだ? 別に世辞が欲しいわけではない。遠慮せずに感想を聞かせてくれ」

 王はユニの前に置かれた皿が半分ほどしか減っていないのが気になるようだった。

「いえ、これは本当に美味しいですよ。

 ただ、人間が食べるには少し量が多すぎます。そっちの二人が普通だと思わないでください。

 それに、強いて言えばやはり肉は薄味ですね。ただ、それでも味になんとも言えない深みがあって、味の薄さを上手に補っています。

 これは何か特別な調味料でも使っているのでしょうか?」


「味が薄いか……なるほどな。

 そう言えば、昨夜オドとイデンからお前から貰ったという肉が献上されたぞ(一切れだけだったがな)。

 食ってみたが、あれはオークの口には毒だな。塩を贅沢に使い過ぎている。

 俺たちオークにとって塩は貴重品だ。わずかしか使えないから、薄味がすっかり身についてしまったんだよ」


「確かに、塩がなくては生きていけないからな……。

 だが、ハラル海――砂漠には岩塩が採れるところが何か所かあったとはずだぞ」

 ゴードンの言葉に王はうなずく。


「知っているさ。

 俺が捕らえられていたサラーム教の国々は、その岩塩から塩を得ていたからな。

 だが、どの塩場も各国の共同管理になっているはずだ。俺たちオークがそれを採りに行ったらどうなるか、考えてみろ」

 そう言われたゴードンは即座に覚った。

「確かに……大騒動、いや間違いなく人間との戦争が起きるな」


「そういうことだ。

 俺たちは十人程の集団で、東の海まで塩を採りに行っている。オークの健脚でも片道一か月はかかる旅だ。

 海岸に着くと、塩水に浸ったある海藻を大量に採り集める。採った時は恐ろしい重さだが、運んでいる内に海水が蒸発して段々軽くなってくれるから、どうにか村まで運んでこられる。

 すっかり乾いた海藻を焼いて、その灰を水に浸して濾し、煮詰めれば塩が採れる。

 ところが初めのうちは、そうして全部の海藻を燃やしていたんだが、乾いた海藻をそのまま肉と煮込んでも塩味がつく。

 そうすると、海藻の成分なのだろうが薄味でも不思議な旨味が出ることが分かってな。今では採ってきた海藻の半分はそうして料理に使っている。

 ユニが言った調味料とは、そのことだろうな」


 海藻を料理に、しかも調味料として使うというのは初耳だった。ユニは素直に感心する。

「これはよいことを聞きました。

 ところで、昨日も言いましたが、私はここで初めてオークの女性を目にしました。

 本当に王国では見たことがないのです。この国ではオークの女性は珍しくないのですね?」


 王は少し顔を歪めた。やはり王国に出没するオークの話はあまり聞きたくないらしい。

 今朝は感情を抑えているようだったが、それでも皮肉を言わずにはいられないようだった。

「お前はオークが木の股から生まれるとでも思っているのか?

 ……ふん、まぁいい。

 確かにオークの女は少ない。俺には二十四人の子があるが、娘は三人だけだ。

 王国に現れる連中に女がいないという話は知らんな。どうせろくでもない理由に決まっている」


 不愛想にそう言ったきり、オーク王は口をつぐんでしまった。

 ユニは困ってしまった。

 辺境に現れるオークの話題がタブーであるのは明らかだ。昨夜アスカたちが言ったように、密林オークと敵対しているためかもしれない。

 しかし、この人間語を解するオーク王から聞き出したいことの半分は、その辺境オークの話なのだ。


 気まずい沈黙を破ったのはアスカだった。さすがに空気を読んで、場をとりなそうと彼女なりに気を遣ったのだろう。

「私もオークについては無知なので、気に障ったら許してほしいのだが……。

 オークといえば棍棒が武器と思い込んでいた。聞く所では密林のオークたちは弓矢も使うそうだが、ほとんどの者が木槍を手にしている。

 これは何か理由があるのだろうか?」


 アスカが武器に興味を示すのは軍人なので仕方がないが、いかにも唐突で場違いな話題だった。

 だが、意外にもダウワース王は話題に乗ってきた。

 実をいうと彼は昨夜、感情的になったことをずいぶん後悔したのに、懲りずにまた場の雰囲気を悪くしてしまい、困っていたのだ。


「ああ、もちろん棍棒も使うぞ、伝統だからな。

 ただ、あれは重量があって破壊力は高いが、大振りになる。当たればいいが、外れた時には構え直すまでに時間がかかるし、その間は隙ができる。

 木槍ならその欠点がなく素早い攻撃が可能だ。叩くのはもちろん、突くという攻撃方法も取れる。

 相手が同じ大きさなら棍棒もいいだろうが、実際にはオークより小さい相手の方が多いのだ。それなら槍の方がずっと効果的だろう」


 アスカはその答えに「はて?」と首を捻った。

「だが、この国が戦っている相手はオークではなかったのか?」

「アスカ!」

 ユニが慌てて彼女の口を塞ごうとしたが、すでに遅かった。


 果たせるかな、王の表情が一変していた。

 彼は目を細めてユニたちを睨みつけ、にやりと笑った。

「お前たち、何をどこまで知っている?

 ……これは、雑談をしている場合ではないな。

 そろそろ人間の好きな〝交渉〟とやらを始めようではないか?」

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