ショーウィンドウの恋

私は、マネキン。

ショーウィンドウの中で、行き交う人を毎日見ているの。


私の仕事は、このお店「adorable《アドォーラァブル》」で、

女性達の見本となる事。


もちろん、この仕事が大好き。



道路を挟んだ向こう側、

オープン準備を忙しなく進めるお店のショーウィンドウの中にいる彼に私は恋をしてしまった。


スーツ姿の彼。

爽やかな白い歯。


でもこの恋は叶わない。

私のいるお店は取り壊しが決まってる。


彼の姿を見るのもあと少し。


あのお店がオープンする時には、ここは閉まってしまう。


私の気持ちを伝えたい。

彼と同じショーウィンドウに並びたい。





今日で、さようなら。

閉店の日がやってきた。


私はショーウィンドウから撤去され、

彼の姿をもう見る事は出来ない。


ありがとう。





次の日、

私は新しいショーウィンドウに並んでた。

憧れの彼の隣で。

新しくなったこの「adorable《アドォーラァブル》」の店先で。

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