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「電話をかけたいので少し一人にして下さい」
関内はそう言い、紅色のケースとともにカフェの外に出た。
彼女が視界から完全にいなくなったことを確認してから紅色はコートの内側からスマートフォンを取り出し電話をかけた。
「――首領、
「おお、そうか。ご苦労だった」
紅色からの電話に出たのは齢を重ねた声色の男――紅色の使い主である彼は、紅色に自分を『首領』と呼ばせている。
「紅色、俺の送ったメールはもう見たか? 地図はちゃんと付いていたか?」
首領は前のめりな調子で尋ねる。
「ええ、問題の動画に映っていた神社の位置も名前もわかりました。お手間をおかけしました」
紅色のスマートフォンはつい先ほど、神社の位置を示した地図のアドレスが書かれたメールを受信していた。
「どうだ紅色。とうとう俺もインターネットの地図を使える域に達したぞ」
「……申し上げにくいのですが、首領くらいの年頃の、額に汗して働く世の男性諸氏ならその程度は自在に使えます。あまり自慢できることではないかと」
「なんだ、そうなのか。そりゃあちとがっかりだ」
「我々の世界は電話機すら毛嫌いするご重鎮が山ほど居ますから、首領は先鋭的なお方だと思いますよ」
「あのひどい石頭の年寄り連中と比べればなぁ、ハハ」
「それで今回の依頼ですが、依頼人の関内女史から色々と話を聞きました。ですが、どうにも不審な点が多いように感じます。確認したいのですが、この件、他の『同業者』はどこも噛んでいませんね?」
「ああ、東京のど真ん中で妖怪退治ができる奴なんて今時お前くらいだ。その心配はない」
「まだ気がかりなことはあります。首領もご存じでしょうが、藁人形に釘を打たれた箇所は顔と胸だけ。ですが本人は
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