魔王
勇者決戦の前日、25時。魔王は帰路についていた。明日は勇者三人との決戦の日。魔王といえど三人の勇者を相手にすれば勝利できるかはわからなかった。今回の勇者も今までの勇者と同様に、決戦の日時を指定してきた。彼らは愚かなほどに真面目であったが、そういうところを魔王は嫌いではなかった。また魂を燃やすほどの熱い戦いを繰り広げられるのだろう。決戦の場は魔王城の最深部にある魔王の間。勇者との決戦はいつもそこなのだ。また今回もあの椅子に座り、堂々と彼らの到着を待ってやるとしよう。魔王の乗る馬車は、その翌日の午前7時に決戦の地である魔王城に到着した。
魔王の間に入った魔王は、愛用する椅子に座った。なぜだかこの部屋には薄っすらと人間の匂いがする。もしかすると姿を消した勇者がこの部屋に潜んでいるのかもしれない。そう考えた魔王は、一度この部屋を”掃除”しようと考えた。
「勇者よ、姿を消すなど姑息な真似を!私の強力な衝撃波魔法を食らうがよい!」
魔王を中心に強力な魔法による衝撃破が部屋いっぱいに広がる。その時、強力な魔法に反応した火の勇者の仕掛けが作動し、椅子が炎上する。炎は魔王に燃え移る。
「ぐわあああああああ!!」
続けて、強力な火の勇者の仕掛けに反応し、水の勇者の仕掛けが作動する。炎は鎮火されたが、一気に蒸発した水分が部屋中に霧を発生させる。
「くそ、目くらましか!愚かな真似を!剣よ、来い!」
魔王は魔王の間の入り口付近の壁に掛けてある、大剣を呼ぶ。魔王の呼びかけに応じた大剣は魔王目掛けて飛んでいく。そして魔王が剣を手に取ろうとした瞬間に、風の勇者の仕掛けが作動した。強風に軌道を変えられた大剣は魔王の手には収まらず、その首を貫いた。
「ぐ・・・ふぅ・・・。見事だ・・・勇者よ・・・!」
魔王は力尽き、その体は死印を残し消滅した。
そして世界に平和が訪れたのであった。
勇者会議 Fa1(ふぁいち) @Fa1
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