第10話

   だから、何ですか? パートタイムでハケンをやったり、

   夜にそっと出かけて刺激を求めるのですか?

   いや、ちょっと話がずれてきましたね、本題に戻りましょう。

   要するに浦島太郎とかぐや姫は同じような体験をしたから意気投合して

   一緒に暮らしている、ということですか?


   しがらきのタヌキやピーターラビットを食糧として

   二人は生き続けているってわけですね?


   ジャックの豆や大きな蕪、シンデレラのカボチャはOKとしても

   お伽噺にはずいぶんたくさんの美味しそうな動物が出てきますね、

   三匹の子豚、金の卵を産むニワトリだかガチョウ、メリーさんの小羊、

   鴨さんのお通りの鴨の親子、ネズミに干支で先を越された肥えた牛、

   みんな美味しそうですね。


   食べ尽くされてはしまいませんか?

   「ご飯の支度!」というと食べたいものが出現する、

   という便利なテーブルクロスがあれば話は違うでしょうけど。


いや、そこのところは心配ご無用です。


大昔、帝はかぐや姫が月に帰ったのを悲しんでせっかく手に入れた不老不死の薬を

富士山の頂上に運んで燃やすようにと命じなさったのをご存知ですよね?


   ええ、もちろん不死の山、すなわち富士山となった由来ですから。


実は、かぐや姫が生まれた竹林はあの乱痴気パーティがあった場所なんですよ、

かぐや姫としては誕生の地、聖地みたいなものですから

あのような狂態のパーティが行われたことをいたくお怒りになりました、


そこで雀一同としては大変恐縮してお詫びのしるしにと

葛篭(つづら)を用意させていただきました。

大、小、どちらでもお取りくださいと。

三つだと迷うから手っ取り早く二つだけにしました。


金の斧、銀の斧、鉄の斧の話は女神さんは同じことを三回も繰り返すのは面倒だ、といってたのを聴いていたので。

                        


                       …続く


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る